コンタクトレンズと目のトラブル

眼球は異物の侵入などで傷つくことがあり、特に黒目の部分(角膜)は敏感なので、角膜が傷ついたら強い痛みを伴うことがあります。角膜が傷つくと視力に深刻な影響を与える可能性があるため、日常生活での注意が必要です。この記事では、眼球が傷つく原因と、防ぐための対策について解説します。

眼球が傷つく原因

1. 物理的な衝撃

眼球は、スポーツ中にボールが目に当たる、事故で目を打つ、不意に指で目をこすってしまうなど、物理的な衝撃が直接眼球に加わると傷つくことがあります。

2. 異物の侵入

小さな埃や砂、虫などの異物が目に入ると、眼表面に傷がつきますし、それらの異物を取ろうとして目をこすってしまうと、さらに眼表面の傷を増悪させます。また、コンタクトレンズが汚れていたり、フィッティングが合っていなかったりする場合でも、眼表面に傷をつくる原因になります。

3. ドライアイ

眼球の表面は涙の膜で覆われています。その涙の膜が不安定だったり、涙の量が不足したりすると目が乾燥して時に傷が生じ、目の不快感や見えにくさを生じることがあります。これをドライアイと言います。ドライアイの危険因子は、長時間のパソコン作業や乾燥した環境、コンタクトレンズ装用などさまざまで、注意が必要です。

4. 化学物質の接触

家庭用洗剤や化学薬品が目に入ると、眼表面が傷つき、強い痛みを伴います。特に強力な酸やアルカリなどの化学物質は、迅速に対応しないと視力に恒久的なダメージを与えるリスクが高まります。

眼球を傷つけないためにできること

1. 保護メガネの使用

物理的な衝撃や異物の侵入を防ぐため、屋外で作業をするときやスポーツをするときは保護メガネの着用が有効なことがあります。また、埃っぽい作業現場や工場などで危険な作業を行う際には、保護メガネを着用しましょう。

2. コンタクトレンズの適切なケア

コンタクトレンズを清潔に保ち、装用時間やスケジュールを守って正しく使用することが重要です。レンズが汚れていると、角膜を傷つけるリスクが高まります。1日使い捨て以外のコンタクトレンズは毎日正しくケアを行ってください。

3. 異物が入ったときの対処法

目に異物が入った場合、無理にこすらず、すぐに流水で目を洗い流すことが大切です。異物が取れない場合や、痛みが続く場合は、速やかに眼科を受診しましょう。

4. 化学物質の取り扱いに注意する

家庭用洗剤や化学薬品を扱う際は、目に入らないように注意し、万が一入ってしまった場合は、直ちに流水で洗い流し、眼科を受診することが重要です。

目の健康を守るために

眼球は非常に繊細で傷つきやすいため、日常生活での予防策が不可欠です。保護メガネの使用、コンタクトレンズの正しいケア、適切な対処法を実践することで、目を守り、健康な視力を維持することができます。目に異常を感じた場合は、早めに眼科を受診し、適切な処置を受けることが大切です。

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監修 :東原尚代 先生(医学博士)

1999年に関西医科大学を卒業後、京都府立医科大学眼科学教室へ入局。バプテスト眼科クリニックや大学院でのドライアイ・角膜の研究を経たのち、2011年にひがしはら内科眼科クリニック副院長に就任。地域に寄りそった眼科診療と共に、京都府立医科大学でも円錐角膜・コンタクトレンズ専門外来や講師を務める。専門分野は、円錐角膜・ドライアイ・コンタクトレンズ。