目の仕組み

色を識別するメカニズムと色覚異常の概要

人の目の奥にある網膜には、錐体細胞と桿体細胞の2種類の視細胞があり、目に入った光を信号に変換しています。主に明るい場所で働く錐体細胞は、赤・緑・青それぞれに敏感な3種類があり、光の三原色の組み合わせで世界を色づけています。いずれかの錐体が十分に働かないと、特定の色を区別しづらい「色覚異常」が起こります。日本人では男性のおよそ20人に1人(約5%)、女性では500人に1人(約0.2%)に先天色覚異常がみられると報告されています※1

主な色覚異常テストの種類※2

1. 仮性同色表(石原表)によるスクリーニング

石原色覚検査表
標準色覚検査表(SPP‑1)
数字や図形が描かれたプレートを読む簡便な方法で、学校健診や企業の健康診断でも広く実施されています。短時間で多人数をチェックできる反面、「異常の疑い」までしか判定できません。

2. アノマロスコープ(精密検査)

赤と緑の光を混合して黄色と一致させる作業を行い、L錐体・M錐体の反応を精密に測定します。先天色覚異常のタイプ(1型・2型)を正確に分類する唯一の方法ですが、検査器具が高価で手技的にも熟練を要するため検査できる施設は限られます。

3. パネルD‑15テスト(程度判定)

15枚の色タイルを色相順に並べる検査で、色の並べ違いパターンから先天色覚異常の中等度か強度かを判定します。職業適性や日常生活への影響を大まかに評価する際に用いられます。

学校における色覚検査について

テストを受けるタイミングと注意点

  • 子ども: 学校健診で「要精密検査」となった場合は眼科を受診し検査を受けましょう。日本眼科医会は学校での色覚スクリーニングの継続を推奨しています※3
  • 進学・就職前: 微妙な色識別が求められる分野(航空・鉄道・デザインなど)を志望する場合は早めに精密検査を受け、自身の特性を把握しておくと安心です。
  • 成人後の自覚症状: 色の見分けに違和感を覚えたら後天的疾患(緑内障、糖尿病網膜症など)の可能性もあるため、眼科受診が勧められます。

検査環境と医療機器の現状

日本眼科医療機器協会の機器分類では、アノマロスコープや色覚異常検査表が「色覚検査器械器具」として明確に区分されており、専門施設で安定供給が図られています※3

テスト結果を生活に生かすコツ

  • 配色の工夫: 赤と緑を避け、明度差や形状で区別するカラーユニバーサルデザインを取り入れる。
  • 安全対策: 信号や警告表示は位置・形・点滅パターンなど複数の手掛かりで確認する。
  • デジタル補助: スマートフォンの色変換アプリや色名表示アプリを活用すると誤認を減らせます。

正しいテストで色覚のバリアを越える

色覚異常テストを適切に受け、自分の色の感じ方を知ることは、学習・仕事・安全な生活のすべてを支える第一歩です。早期に検査し、結果を前向きに捉えて自分の特性を知ることで、色覚にまつわるバリアは大きく低減できます。

※1 「色覚の本質」公益社団法人日本眼科医会、引用箇所:2019年8月、p.8 https://www.gankaikai.or.jp/press/0f7973f1c593a33d6a5c21eea02ccc7e.pdf (参照日:2025‑04‑12)

※2 公益財団法人日本眼科学会「先天色覚異常 -- 検査」 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=33 (参照日:2025‑04‑12)

※3 公益社団法人日本眼科医会「色覚異常といわれたら」 https://www.gankaikai.or.jp/health/50/ (参照日:2025‑04‑12)

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監修 :東原尚代 先生(医学博士)

1999年に関西医科大学を卒業後、京都府立医科大学眼科学教室へ入局。バプテスト眼科クリニックや大学院でのドライアイ・角膜の研究を経たのち、2011年にひがしはら内科眼科クリニック副院長に就任。地域に寄りそった眼科診療と共に、京都府立医科大学でも円錐角膜・コンタクトレンズ専門外来や講師を務める。専門分野は、円錐角膜・ドライアイ・コンタクトレンズ。