目の仕組み

(イメージ図)

近視は眼鏡やコンタクトレンズで容易に矯正できる『単純近視』と、矯正視力の低下など視機能障害を伴い失明の原因となる『病的近視』があります。

近視は比較的アジア人に多いとされ、その原因は遺伝、環境要因が挙げられます。近年、近視人口の増加、近視の低年齢化が懸念されています。令和4年(2022年)度の学校保健統計調査によると、小中高校生のいずれも裸眼視力1.0未満の割合が過去最高となりました。※1

令和4年度学校保健統計 裸眼視力1.0未満の割合

 令和4年度学校保健統計 裸眼視力1.0未満の割合(文部科学省HPより引用)

コロナ禍以降、学校や家庭でデジタル機器を利用する時間が増加したことが視力低下に関連したと考えられています。※2

単純近視は20代前半まで進行しますが、眼鏡やコンタクトレンズで良好な視力矯正が得られ、日常生活では大きな支障はありません。しかし、一般に40歳を過ぎると緑内障が発症しやすく、中でも近視は緑内障のリスクファクターと言われています。

一方、病的近視は眼球後部の変形を特徴とし、網膜に出血などの様々な合併症を生じて矯正しても視力が出ない状態をさします。病的近視は中高年になっても近視が進行する場合(矯正度数が10.0 D前後あるいはそれ以上)があります。

以前は近視の治療方法が確立されていませんでしたが、最近、近視進行についての研究が見直されて新しい検査法が発達し、治療法が開発されはじめました。病的近視についても画像診断の発達や、合併症に対する治療法も注射、投薬、手術と広がってきています。

※1 “学校保健統計調査―令和 4 年度(確定値)の結果の概要”.文部科学省ホームページ,2023—11—28,(参照:2023—12—21))

※2 文献:德村光昭ほか.新型コロナウイルス感染症対策としての長期休校後の小学生の視力低下.慶應保険研究,40(1):45-51, 2022

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監修 :東原尚代 先生(医学博士)

1999年に関西医科大学を卒業後、京都府立医科大学眼科学教室へ入局。バプテスト眼科クリニックや大学院でのドライアイ・角膜の研究を経たのち、2011年にひがしはら内科眼科クリニック副院長に就任。地域に寄りそった眼科診療と共に、京都府立医科大学でも円錐角膜・コンタクトレンズ専門外来や講師を務める。専門分野は、円錐角膜・ドライアイ・コンタクトレンズ。