ものもらいになったらコンタクトレンズは使用しない!対処法や対策を解説

目を押さえる男性

Point

  • ものもらいは麦粒腫と霰粒腫がある
  • ものもらいになったらコンタクトレンズは着用しない
  • 手指を清潔に保ち、免疫力を高めて対策をする

目次

  1. ものもらいとは
  2. ものもらいにならないための対策
  3. コンタクトレンズの正しい使い方
  4. まとめ

ものもらいとは

目のクローズアップ

ものもらいは「めばちこ」や「めいぼ」と呼ばれることもあり、私たちにとって馴染みのある目の病気です。コンタクトレンズを使用している方にとっては、とくに悩ましい病気かもしれません。

まずはものもらいの種類や症状を説明します。

ものもらいの種類

ものもらいは、以下2種類に分けられます。身近なものもらいのほとんどは、細菌に感染して起こる麦粒腫です。

  • 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
    まぶたの内側や縁から細菌が入り込み、急性の炎症を引き起こした状態です。また麦粒腫は、まつ毛の内側にあるマイボーム腺(瞬きで涙に脂を供給する皮脂腺)に細菌が感染して発症する「内麦粒腫」と、まつ毛の毛根近くにある脂や汗を出す分泌腺から感染して発症する「外麦粒腫」に分けられます。
  • 霰粒腫(さんりゅうしゅ)
    マイボーム腺の出口が詰まったり、分泌される脂がかたくなったりで溜まり、しこり(肉芽腫)ができて発症します。霰粒腫の状態ならしこりが触れるくらいで痛みはありませんが、そこに細菌が感染すると化膿性霰粒腫となり、痛みや腫れが生じます。

ものもらいの治療

霰粒腫の場合は、しこりができても痛みや腫れはほとんど生じないため経過観察となります。しかし細菌感染を生じた麦粒腫や化膿性霰粒腫では、抗菌点眼や抗生物質内服などの治療が必要です。

ものもらいになったらコンタクトレンズは着用しない

たとえ症状が軽くても、ものもらいになったら眼瞼粘膜に炎症を生じているためコンタクトレンズの使用を控えて、メガネで生活してください。。また、麦粒腫や化膿性霰粒腫では抗菌点眼(1日4回程度)が必要になるため、治療の観点からもコンタクトレンズの装用は控えなければなりません。

ものもらいにならないための対策

手を洗う様子

ものもらいを予防するには、以下の4点に気をつけましょう。

  1. 手指を清潔に保つ
  2. 過度なアイメイクはしない
  3. 免疫力を高める
  4. レンズケアを含めコンタクトレンズを正しく使用する

手指を清潔に保つ

麦粒腫や化膿性霰粒腫は細菌感染で発症するため、コンタクトレンズの装脱時に細菌が目に持ち込まれないよう手指を清潔に保つのが重要です。コンタクトレンズを装用するときは、石鹸と流水で手をきれいに洗い、清潔なタオルで水気を拭き取ってからレンズに触れるようにしましょう。手に水気が残ったままレンズに触れると、雑菌が繁殖する原因になるため注意しましょう。

また目に触れる際は爪を短く切りそろえて清潔に保ち、汚れた手のままコンタクトレンズをつけ外しするのは絶対にやめましょう。

過度なアイメイクはしない

ものもらいを防ぐには、目の周りを清潔に保つことも重要です。とくに、マイボーム腺の開口部を詰まらせてしまうような過度なアイメイク(例:まつ毛の内側にアイラインをひく)はしないように気をつけましょう

まつ毛の根元に化粧品が残っていると毛穴が詰まり、ものもらいにかかるリスクが高まります。ものもらいになった後も、まぶたの腫れや目の充血などの症状を悪化させるおそれがあるため注意しましょう。

なるべくアイラインはまつ毛の外側に引いたり、細菌の繁殖を防ぐため目の周りに使う化粧品は定期的に買い替えたりするなど、清潔に保つ工夫をしてください。目を閉じたままアイメイクをするだけでも、目に異物が混入するのを防げます。また、化粧をした日は必ずクレンジングをして、きちんと落とすよう清潔を保つように心がけることも大切です。

免疫力を高める

ストレスや疲労が溜まっていると免疫力が低下し、ものもらいを発症しやすくなります。免疫力を正常に保てていれば、たとえ目に細菌が触れたとしても、感染するリスクを減らせます。

免疫力を高めるには、以下の方法が一般的です。

  • しっかりと睡眠をとる
  • バランスの良い食生活を心掛ける
  • ストレスや疲労を溜めない
  • 十分な休息をとる

コンタクトレンズを正しく使用する

日々の生活に身近なコンタクトレンズですが、使い方を誤ると、ものもらいをはじめとした様々なトラブルを引き起こす可能性があります。

コンタクトレンズやレンズケースが汚れていると細菌が繁殖して、ものもらいを発症するリスクが高まります。また自分に合わないコンタクトレンズを使ったり、使用期間を守らなかったりすると、角膜に傷がついてしまい、さらなる合併症を生じるため注意しましょう

日頃からコンタクトレンズを正しく使用するのはもちろん、ものもらいになったら、コンタクトレンズの使用は控えましょう。コンタクトレンズをつけたままだと、ものもらいの治療に必要な点眼薬をさせないため、治療中はメガネで生活するのが原則です。

コンタクトレンズの正しい使い方

コンタクトレンズを乗せた指先とケースを持つ手

ものもらいを予防するため、コンタクトレンズの正しい使い方を理解しましょう。
最後に、コンタクトレンズをつける前と後で気をつけるべきポイントを紹介します。

コンタクトレンズをつける前に

コンタクトレンズをつける際は、事前に石鹸と流水で手指をきれいに洗って、乾いた清潔なタオルで水気をしっかりと拭き取ってください。水気が残ったままコンタクトレンズに触れると細菌などの微生物が繁殖する原因になるため、必ず清潔なタオルで拭き取りましょう。

また、装用時にはコンタクトレンズを傷付けないよう、爪は短く切りそろえて、角があたらないようなめらかに整えてください。さらに装用する前は、コンタクトレンズに変形や変色、破損やキズ、汚れや異物の付着がないかをチェックしましょう。

なお化粧をした後にコンタクトレンズを装用すると、手指に付着した化粧品がコンタクトレンズに付着してしまうおそれがあるため、必ずお化粧の前にコンタクトレンズをつけましょう。また、コンタクトレンズはクレンジングをする前に外す流れを習慣化すると良いでしょう。クレンジング剤は油分を多く含んでおり、目の中に入るとコンタクトレンズの変形の原因となるからです。

正しく取り外しレンズチェックを行う

2週間で交換するコンタクトレンズはケアしながら使用するため、コンタクトレンズを取り外したら、装用時と同様に変形や変色、破損、キズ、汚れ、異物の付着がないかをチェックしましょう。取り外すときに、手前に引っ張ったり、無理にかき出したりすると、レンズが破損するおそれがあります。また、取り外すときも事前に石鹸と流水で洗って、手指を清潔に保つことが重要です。取り外したあとにコンタクトレンズの状況を毎回チェックすることで、トラブルを防止できます。コンタクトレンズには、さまざまな種類のものがあります。眼科医の指示や取扱説明書の内容に従い、正しく使用してください。

装用期間を守る

1日使い捨てレンズでは1日装用したあと廃棄しますが、頻回交換レンズでは2週間から1か月間ケアしながら使用して廃棄します。装用期間を過ぎて使用し続けると、コンタクトレンズの汚れや微生物の汚染からアレルギー性結膜炎や感染症などの合併症のリスクが高まります。必ず装用期間を守って使用してください。

使用期限を守る

コンタクトレンズには使用期限が定められており、通常、外箱やブリスターパックの上蓋ラベルに記載されています。使用期限は製品によっても異なりますが、一般的なもので購入後2〜3年程度は安全に使用できます。使用期限や使用期間が過ぎたコンタクトレンズは、使用しないようにしましょう

保存方法を守る

コンタクトレンズは高度管理医療機器でもあるため、保存方法やケア方法を守ることも重要です。コンタクトレンズを保管する場合は、必ず専用の保存液とレンズケースを使用してください。浸透圧の違いでレンズが変形したり、塩素やミネラルによってレンズが汚れたりするおそれがあるため、水道水を使用するのはご法度です。保存液は毎回新しいものに交換し、レンズ全体が浸かるように十分量を入れてください。

定期検査を受ける

コンタクトレンズを安全に使用するには、眼科医による定期検査を受けることも大切です。定期検査ではコンタクトレンズが目に合っているか、目に異常がないかなどをチェックします。定期検査のペースは人によって異なりますが、終日装用の場合は3ヶ月に1回程度、連続装用の場合は1ヶ月に1回程度が目安となります。

まとめ

鏡を見て微笑む女性

今回はものもらいについて詳しく解説しました。

ものもらいとは、細菌への感染やマイボーム腺の詰まりによって、まぶたが赤く腫れたり痛みが出たりする状態です。自然に治ることは少なく、膿が溜まり腫れと痛みが増強する場合は切開が必要になります。悪化する前に眼科を受診し適切な治療を受けましょう。

刺激や汚れによって症状が悪化するおそれもあるため、ものもらいにかかったらコンタクトレンズの使用は控えましょう。日頃から目を清潔に保ち、コンタクトレンズを正しく使用するのはもちろん、ものもらいの症状が現れたら早めに眼科を受診することが大切です。

監修 :東原尚代 先生(医学博士)

1999年に関西医科大学を卒業後、京都府立医科大学眼科学教室へ入局。バプテスト眼科クリニックや大学院でのドライアイ・角膜の研究を経たのち、2011年にひがしはら内科眼科クリニック副院長に就任。地域に寄りそった眼科診療と共に、京都府立医科大学でも円錐角膜・コンタクトレンズ専門外来や講師を務める。専門分野は、円錐角膜・ドライアイ・コンタクトレンズ。

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