コンタクトレンズケア用品の正しい使い方は?注意点や持っていないときの対処法も紹介

Point
- コンタクトレンズにはケア用品が必須
- コンタクトレンズの種類に合ったケア用品を、正しく使うことが大切
- コンタクトレンズケア用品を使うときの注意点をきちんと守る
- コンタクトレンズケア用品は代用できない
目次
コンタクトレンズに使う「ケア用品」とは?

コンタクトレンズを使用している人の中には、2週間交換タイプや1か月交換タイプを使っている人もいるでしょう。1日使い捨て以外のソフトコンタクトレンズやハードコンタクトレンズの保存には、ケア用品が必須です。
はじめに、コンタクトレンズケア用品の概要を解説します。
コンタクトレンズケア用品の概要
コンタクトレンズケア用品とは、コンタクトレンズを清潔に使用するためのものです。1日使い捨てコンタクトレンズ以外をしている人は必ず使用しなければなりません。
ハードコンタクトレンズ用のケア用品には、非イオン界面活性剤と塩化ベンザルコニウムという防腐剤が含まれていることが一般的です。毎日の消毒が必要なソフトコンタクトレンズ用ケア用品には、消毒成分が含まれています。
コンタクトレンズケア用品の種類
ソフトコンタクトレンズ用ケア用品にはマルチパーパスソリューション(MPS)や過酸化水素製剤、ポピドンヨード製剤があります。
- MPS:洗浄・すすぎ・消毒・保存を1本で行える商品です。
- 過酸化水素製剤:高い消毒効果が期待できる商品です。消毒後には過酸化水素の中和が必要となります。長期の保存ができないため、注意しましょう。中和が不十分だと、装用時に強い痛みを感じます。
- ポビドンヨード製剤:ポビドンヨードを用いた消毒剤で、オレンジ色をしているのが特徴です。消毒後に中和する必要があります。中和後は無色透明に変わるため、変化がわかりやすいでしょう。
ハードコンタクトレンズ用には洗浄保存液と酵素入り洗浄保存液があります。
- 洗浄保存液:洗浄と保存の両方が行える保存液です。タンパク質汚れの処理は別途必要になります。
- 酵素入り洗浄保存液:液体酵素が配合されているため、保存している間にタンパク質汚れを分解除去できる保存液です。
コンタクトレンズのケア用品を使うメリット
コンタクトレンズを衛生的な状態に保つほか、以下のようなメリットがあります。
- 乾燥および劣化を防ぐ
- 細菌の繁殖を防ぐ
- 汚れの付着やレンズの曇りを防ぐ
- 目から出る分泌物などの汚れを落とす
- 形状や装用感を保つ
1日使い捨て以外の場合は、必ず使用しなければなりません。
コンタクトレンズケア用品を使うときの注意点

ケア用品を使用する際には、以下の点に注意が必要です。それぞれの注意点を詳しく解説します。
- 毎日交換する
- ほかの種類と混ぜて使用しない
- 使用期限をきちんと守る
- 適切な環境で保存する
毎日交換する
ケア用品は、毎日交換しましょう。たとえ長期間使用しない時でも、1週間に1度は交換する必要があります。
使用済みのケア用品に継ぎ足して使用してはいけません。使用済みのケア用品には、バイオフィルムという膜が形成されやすくなります。バイオフィルムが形成されると、洗浄液や消毒液が菌の間に浸透しにくくなり、細菌や微生物を除去することが難しくなります。
コンタクトレンズケースは専用のものを使用し、定期的な交換が必要です。ソフトコンタクトレンズ用ケア用品にはレンズケースが付属していますので、購入のたびにレンズケースも交換してください。ハードコンタクトレンズ用は6ヶ月〜1年に一度は新品のレンズケースと交換しましょう。
ほかの種類と混ぜて使用しない
ほかの保存液や消毒剤、ケア用品と混ぜて使用してはいけません。混合した液体は品質が保証されておらず、目のトラブルになりかねません。
使用期限をきちんと守る
ケア用品や洗浄液には使用期限が設けられています。眼障害や異物感、視力不良につながるため使用期限は必ず守りましょう。また、使用期限以内であっても、開封後は1か月を目安に使い切りましょう。
適切な環境で保存する
使用後は蓋を閉めて、直射日光の当たらない涼しい場所で保管しましょう。気温の差が激しい場所で長時間放置すると成分が変質する可能性があります。ほかの容器に移し替えず、適切な環境で保管しましょう。
コンタクトレンズだけでなく、レンズケースにも汚れが付きます。汚れが付いたものを使い続けると目の感染症やトラブルの原因になります。使用後は毎回洗って自然乾燥させ、清潔に保ちましょう。
【種類別】ソフトコンタクトレンズケア用品の正しい使い方

ケア用品ごとに正しい使い方が異なるため、添付文書や説明書をよく読み、よく理解した上で使用しましょう。
マルチパーパスソリューション(MPS)の場合
マルチパーパスソリューション(MPS)の場合は、ほかの洗浄ケア用品と比べて細菌やかびが繁殖しやすいため、レンズケース内のMPSは毎日交換しましょう。手順は以下のとおりです。
- 先に手を洗い、手指を清潔にする
- レンズケースの中にMPSを適量入れておきます。
- 目から外したコンタクトレンズを指でつまみ、MPSをかけながらすすぎます。
- 掌にコンタクトレンズをのせ、MPSを適量かけて、人差し指を使ってこすり洗いします。
- 表裏20回ずつこすり洗いしたら指でつまみ、MPSをかけながらすすぎます。
- コンタクトレンズを、MPSを満たしたレンズケースに入れます。指定されている時間(通常は4時間)以上浸けると消毒が完了します。
- 再度MPSですすいでから装着します。
消毒力が弱めなため、消毒前にこすり洗いをして細菌などの微生物を除去しておくことが必要です。こすり洗いは毎日必ず行いましょう。
過酸化水素製剤の場合
過酸化水素製剤は消毒効果の高さが特徴です。消毒後、そのまま装用すると目に障害を及ぼす可能性があるため、消毒後は中和する必要があります。保存開始から24時間を経過したときは、装用前にもう一度消毒・中和を行いましょう。
ポビドンヨード製剤の場合
ヨウ素とポリビニルピロリドンという成分の複合体でできている消毒成分です。幅広い病原体に強く、人体へのダメージはほとんどないのが特徴です。消毒後は中和も行います。基本的に洗浄方法は、つけおきとなります。
1週間以上保存するときは、1週間ごとに再度消毒・中和を行いましょう。24時間以上保存したレンズを装用する場合は、装用前にもう一度消毒・中和が必要です。
【種類別】ハードコンタクトレンズ洗浄保存液の正しい使い方

ハードコンタクトレンズの保存液は、適切に使用しないと良い洗浄効果が得られないかもしれません。洗浄保存液と酵素入り洗浄保存液があるので、それぞれ解説します。
洗浄保存液の場合
レンズを目から外したら、水道水ですすぎ、その後レンズをこすり洗いします。こすり洗いは専用の洗浄液か洗浄保存液で行います。こすり洗いが終わったら、水道水でレンズをすすぎ、洗浄保存液を満たしたレンズケース内に保存します。洗浄保存液は、洗浄と保存の両方に使えます。毎日の保存時にタンパク分解酵素を1〜2滴たらします。
酵素入り洗浄ケア用品の場合
酵素入り洗浄保存液は、洗浄保存液に液体酵素が最初から入っています。洗浄保存液と同様の手順で洗浄・保存を行います。保存中にタンパク質汚れを分解除去できます。
コンタクトレンズケア用品を持っていないときの対処法は?

コンタクトレンズケア用品がない場合、ほかの液体で代用してはいけません。特に目薬や水道水は代用できると誤解されやすいため注意しましょう。
ほかの液体にはケア用品の役割が果たせません。
ハードコンタクトレンズはすすぎに水道水を使用しますが、保存には洗浄保存液を使います。取扱説明書どおりに正しく洗浄し、ケア用品で保存しましょう。ソフトコンタクトレンズはレンズ自体に水分が含まれているため、水道水中に保存すると、浸透圧が変化してレンズの水分量や形が変形する危険性があります。
コンタクトレンズに使える目薬もケア用品の代用にはなりません。目薬は洗浄効果や消毒効果がないため、コンタクトレンズに汚れや細菌が付着したまま装着してしまう危険性があります。
コンビニやドラッグストアで購入する
コンタクトレンズケア用品が手元にないときは、コンビニエンスストアやドラッグストアで購入可能です。使い捨てタイプやコンパクトサイズのケア用品が売っています。近くのお店で探してみましょう。
新しいコンタクトレンズを使う
コンタクトレンズケア用品が手に入らないときは、新しいコンタクトレンズを使用しましょう。誤った方法で保存すると目のトラブルを起こすリスクがあるため、コンタクトレンズを交換するのが最善です。
裸眼で生活できない人は、外出の際にスペアのコンタクトレンズや眼鏡を持っておくと安心です。
まとめ

水道水・目薬・洗浄液をケア用品の代用として使用できると勘違いしていた人もいたのではないでしょうか。持っていないときは、新しく購入するか新しいコンタクトレンズを使用し、目の安全を守りましょう。