コンタクトレンズを眼科医の処方なしで購入するリスクとは?

患者に優しく説明する眼科医

Point

  • コンタクトレンズ購入時、眼科医に処方してもらうことは重要

目次

  1. コンタクトレンズを眼科医の処方なしで購入する4つのリスク
  2. コンタクトレンズ購入時に眼科医の処方が必要な理由
  3. 眼科でコンタクトレンズを処方してもらう手順
  4. まとめ

コンタクトレンズを眼科医の処方なしで購入する4つのリスク

コンタクトレンズをケースから取り出す様子

平成29年、厚生労働省が「コンタクトレンズの適正使用に関する情報提供等の徹底について*1」を発令しました。コンタクトレンズ販売に際し、購入者に対して医療機関受診の必要性を呼びかけるとともに「処方箋不要」「検査不要」と称した販売行為を不適切としています。

コンタクトレンズを購入する際には、販売・購入する側それぞれが安全に配慮し、医師の指示にもとづいた適切な手順を踏むよう求められています。

  • 健康問題につながる
  • 製品の度数が目に合っていない可能性がある
  • トライアル用のコンタクトレンズを装用できない
  • 目の病気に気づきにくくなる

*1参照元:薬生発0926第5号「コンタクトレンズの適正使用に関する情報提供等の徹底について」

健康問題につながる

眼科医の検査や処方なしで、自己判断で購入したコンタクトレンズは、使用者にとって適切な規格でない可能性もあり、目の健康被害につながりかねません。

頭痛・肩こりなど、一見すると目と関連がないように思われる症状も、過度な矯正や乱視の未矯正など度数が合わないコンタクトレンズの装用が原因かもしれません。度数の合わないコンタクトレンズによる目の疲れ・視力低下は、頭痛・肩こり・めまいなど、体のほかの部分にも影響を及ぼします

製品の度数を間違える可能性がある

自分にとって適切なコンタクトレンズやその度数は、眼科を受診して検査しなければ特定できません。また、一度、受診してコンタクトレンズを処方されても、年齢とともに屈折度数が変化したり老眼が出たりして、自分に最適な度数は変化します。
合っていないコンタクトレンズやレンズ度数の製品を購入・使用した場合、違和感が生じるだけに留まらず、上述した健康面での問題につながります。

度数の合っていないコンタクトレンズを装用していると、見えにくいだけではなく、目はピントを合わせようとし続けるため、目が疲れたり、頭痛の原因になることがあります。

コンタクトレンズを購入する前には眼科を受診し、自分に合ったコンタクトレンズを処方してもらいましょう。

トライアルレンズを装用できない

眼科では、コンタクトレンズが目にフィットするか、適切な度数で最良の視力がでるかを確認するためにトライアルレンズを装用して検査をします。眼科で検査をせずにコンタクトレンズを購入してしまうと、素材や形状および度数が合っているのか確認できないのもデメリットです。そのまま使い続けると目の痛みや乾き、異物感が起きるリスクもあります。

目の病気に気づきにくくなる

コンタクトレンズ装用はドライアイやアレルギー性結膜炎が生じやすくなるため、眼科医は定期検査で度数合わせやフィッティングを確認するだけでなく、ドライアイや結膜の状態をチェックしています。コンタクトレンズの購入時に眼科の受診を怠ると、こういった目の病気に気づきにくくなり、症状が出る頃には病気が重症化してしまうことも。また、目はとくに老化が早く始まる部位です。たとえば老眼は誰にでも起こる現象ですが、早い人であれば30代後半から自覚症状があらわれます。さらには40歳以上で緑内障の発症率が高くなる(特に近視は緑内障発症のリスクファクター)とされます。

眼科を受診せず、処方なしでコンタクトレンズを購入した場合、目の健康チェックがおろそかになる可能性もあるため注意しましょう。

コンタクトレンズ購入時に眼科医の処方が必要な理由

眼科を受診する女性

眼科医の処方を受けるべき理由は以下の3つです。それぞれ見ていきましょう。

  • 自分に合ったコンタクトレンズを選べる
  • 目の病気を予防・改善できる

自分に合ったコンタクトレンズを選べる

眼科を受診すれば、自分にあったカーブや度数のコンタクトレンズを選択できます。コンタクトレンズの装用は、少なからず目に負荷をかける行為です。また、乾燥しにくいコンタクトレンズや消毒効果の高いケア用品などさまざまな製品が毎年のように発売されるため、自分に合った製品を提案してもらえます。目の健康のためにも眼科で検査を受け、自分にとって適切なコンタクトレンズを選ぶようにしてください。

目の病気を予防・改善できる

コンタクトレンズを処方してもらうにあたり、目に関するさまざまな検査を行います。問題がないと思っていても、自覚症状なく目の病気が進行している可能性もゼロではありません。重大な病気の場合、失明に至るケースもあります。コンタクトレンズ購入だけでなく、目の健康維持のためにも検査を受けましょう。

なお、タンパク質などの汚れが付着したコンタクトレンズを装用していると、アレルギー性結膜炎など目の障害を引き起こす原因となります。コンタクトレンズ購入後も、目の病気を予防するために定期的な検診を受けましょう。詳しくは、処方された眼科医の指示に従ってください。

眼科でコンタクトレンズの処方箋をもらう手順

問診を受ける女性

実際に眼科でコンタクトレンズを処方してもらう手順は、以下のとおりです。

  1. 眼科の予約
  2. 問診
  3. 目の検査
  4. コンタクトレンズを選ぶ
  5. コンタクトレンズ装着後の検査
  6. コンタクトレンズの説明、装用指導
  7. 診察料の支払い

眼科の予約

まずは眼科を予約し、診察を受けに行きましょう。コンタクトを処方している眼科を調べて、電話やWebで予約します。初めてコンタクトレンズを購入する際は問診・検査に時間がかかるため、2時間ほど予定を空けられる日を選択しましょう。

問診

眼科の問診では目の状態や普段の生活習慣、職種、スポーツ履歴、コンタクトレンズの使用経験などを確認します。コンタクトレンズの購入目的など、簡単なヒアリングを受けるケースもあります。

問診票へのおもな記入項目は以下のとおりです。ほかにもアレルギーの有無や現在の目の見え方など、受診する眼科によって問診の内容は異なります。

  • 眼鏡の有無
  • 1日何時間ほど装用する予定か
  • 普段パソコンやスマートフォンをどれくらい使っているか
  • 点眼薬を使っているか
  • 目やに、充血など目の症状の有無

目の検査

コンタクトレンズを装用しても問題がないか、目の健康状態を確認するために検査を行います。具体的な検査項目は以下のとおりです。

  • 他覚的屈折検査
    近視や遠視、乱視といった目の屈折度数を、オートレフケラトメータと呼ばれる装置によって数値化します。あわせて角膜中央部のカーブの測定もします。
  • 自覚的屈折検査
    視力表と検眼レンズを使い、最良の視力が出る度数を検査します。他覚的屈折検査の結果を参考に自覚的屈折検査を行い、その結果をもとにコンタクトレンズの度数を検討します。
  • そのほかの検査
    眼圧検査涙液の検査角膜形状検査角膜内皮検査などを必要に応じて行います。

コンタクトレンズを選ぶ

検査結果に基づいて、自分に合ったコンタクトレンズを選んでもらいます。使用目的やライフスタイルに応じた提案も受けられます。
コンタクトレンズを選び、実際に装用して問題の有無を確認します。

コンタクトレンズ装着後の検査

実際にコンタクトレンズを装用し、矯正視力やフィッティングなどの確認をします。瞬きをする際にレンズの動きは適切なのか、きちんと角膜を覆っているのかを、細隙灯顕微鏡で確認して、矯正視力検査を行います。また必要に応じて度数などを微調整し、購入するコンタクトレンズの規格を決定します。

まとめ

パソコン入力する眼科医

コンタクトレンズの自己判断での購入には、さまざまなリスクが潜んでいます。「面倒だから」「手っ取り早いから」などの理由だけで、眼科医の処方なしで購入すると、多くの健康問題を引き起こす原因となります

眼科の受診は、自分に合った製品を選べるだけでなく、コンタクトレンズの使用に伴うリスクの軽減や健康チェックの観点からも重要です。眼病予防・健康維持のため、必ず眼科医の処方に基づいたコンタクトレンズを購入しましょう。

監修 :東原尚代 先生(医学博士)

1999年に関西医科大学を卒業後、京都府立医科大学眼科学教室へ入局。バプテスト眼科クリニックや大学院でのドライアイ・角膜の研究を経たのち、2011年にひがしはら内科眼科クリニック副院長に就任。地域に寄りそった眼科診療と共に、京都府立医科大学でも円錐角膜・コンタクトレンズ専門外来や講師を務める。専門分野は、円錐角膜・ドライアイ・コンタクトレンズ。

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