コンタクトレンズをつけたまま寝るとどうなる?トラブルの種類や対処法を紹介

Point
- コンタクトレンズをつけたまま寝ると、さまざまなトラブルやリスクにつながる
- 寝ているとき以外もコンタクトレンズを外すべきタイミングがある
- コンタクトレンズを長時間つける場合は負担を減らす工夫が必要
目次
コンタクトレンズをつけたまま寝るとどうなる?

疲れて帰宅したあと、コンタクトレンズをつけたまま寝てしまったことがある方もいるかもしれません。外さないで就寝すると、さまざまなトラブルを引き起こすリスクがあります。睡眠や仮眠をとる際は、必ずコンタクトレンズを外すことが重要です。起こりうるトラブルと、その原因を解説します。
酸素不足
一般にコンタクトレンズを装用すると、裸眼のときよりも角膜への酸素供給が下がります。酸素透過性の低いコンタクトレンズだけでなく、たとえ酸素透過性の高いコンタクトレンズでも長時間装用を続けると慢性的な酸素不足に陥ります。したがって、角膜への酸素供給を維持するため、装用時間に気を付ける、コンタクトレンズが酸素をよく通す素材を選ぶ、コンタクトレンズの汚れがないよう気を付けなければなりません。コンタクトレンズを装用したまま就寝する人は、寝る直前まで装用していることが多く、角膜の上皮細胞の新陳代謝が悪くなってバリアー機能が弱体化して角膜にキズを生じやすくなっており、重篤なトラブルを招く恐れがあります。
コンタクトレンズが目に張りつく
睡眠中は涙の分泌量が減るため、コンタクトレンズを外さないで就寝すると、コンタクトレンズが目に張り付いて取れにくくなってしまうおそれがあります。無理に取り出そうとすると、角膜を傷つけてしまいます。必ず眼科を受診しましょう。
目が充血する
コンタクトレンズを外さないで就寝すると、コンタクトレンズに付着した汚れが涙で洗い流せないだけでなく、雑菌が繁殖して目が充血して目やにが出やすくなったり痛みが生じたりするリスクが高まります。
角膜トラブルが起こる
コンタクトレンズを外さないで就寝すると慢性的な酸素不足から角膜が傷つくおそれがあります。また、コンタクトレンズに付着した細菌の毒素により、アレルギー反応が惹起されて角膜周辺に白い円形~円弧状の炎症性の混濁を生じ、充血や目の痛みを生じます(図:角膜浸潤)。治療は、コンタクトレンズ装用の中止と、抗菌薬および弱いステロイド点眼で数日で回復しますが、治療後も淡い混濁が残ります。

感染症リスクが高まる
コンタクトレンズの装用による酸素不足から角膜上皮が欠損し、そこに細菌などが感染して潰瘍に至ります。コンタクトレンズに関連した感染性の角膜潰瘍は、角膜中央部に生じやすく(図)、潰瘍が治っても白い混濁が残ってしまうために視力障害の原因となります。瞼が酷く腫れ、激しい眼の痛みや充血、流涙といった強い自覚症状が出ます。このような症状が表れたらすぐに眼科を受診しましょう。

コンタクトレンズをつけたまま寝たときの対処法

コンタクトレンズをうっかりつけたまま寝てしまったときは、どのように対処すべきでしょうか。4つのステップにわけて、具体的な対処法を解説します。
STEP1:手を洗って清潔にする
あわてて外そうとするのはご法度です。手を綺麗に洗って清潔にした上で、落ち着いて外しましょう。起床時の目は乾燥しており、ダメージに弱い状態になっています。必ず手を洗ってから外しましょう。
STEP2:目が潤った状態にしてコンタクトレンズを外す
手を洗って清潔にしたら、目が潤った状態にして、落ち着いて外しましょう。ゆっくりと瞬きを繰り返して目に涙が行き渡ったら、人工涙液などを点眼して水分を補ってください。水道水を使うのはやめましょう。涙や人工涙液で目が潤ったら、ゆっくりと優しく外してください。
STEP3:外せない場合は眼科を受診する
なかなか外れない場合は、無理をせずに眼科を受診しましょう。無理に外そうとすると、角膜を傷つけてしまうおそれがあります。視力低下にもつながるため、自分で外せない場合は必ず眼科を受診してください。
STEP4:目のケアをする
コンタクトレンズを外したら、目のケアを怠らないようにしましょう。まずは清潔な状態に保って、目を十分休ませてください。専用の点眼薬をさしたり、ケアグッズを使ったりする方法もあります。2週間交換や1か月交換の場合は、洗浄と消毒をして保存しましょう。
【シーン別】コンタクトレンズを外すべきタイミングは?

コンタクトレンズを外さないで就寝するリスクや、対処法を解説しました。
ここからは、コンタクトレンズを外すべきタイミングについて解説します。
短時間の仮眠をとるとき
たとえ短時間であっても、睡眠をとるときは必ず外しましょう。
お風呂やサウナに入るとき
お風呂やサウナに入るときも、必ず外してください。お風呂やサウナでは、コンタクトレンズが張り付いてしまうおそれがあります。
水泳をするとき
プールでの装用は絶対にやめましょう。視力に不安がある場合は、度付きのゴーグルを使用しましょう。
化粧をするとき
原則としてコンタクトレンズは、化粧をする前に装用しましょう。化粧品のなかには、一度付着すると洗浄液では十分に除去できないものも少なくありません。また、ハンドクリームなどの油分を含んだ化粧品は、曇りや異物感の原因となります。
コンタクトレンズを長時間つけるときの負担を減らす工夫

コンタクトレンズは使用法を誤ると、さまざまなトラブルを引き起こします。
最後に、長時間つけるときの負担を減らす工夫をご紹介します。
帰宅時すぐにコンタクトレンズを外す
帰宅したら、手洗いうがいのときにコンタクトレンズを外すのも一つのタイミングです。化粧をしている方は、フェイスクレンジングの前に外しましょう。化粧をする前に装用し、フェイスクレンジングをする前に外す流れを習慣化するとよいでしょう。目を休ませる意味でも、家にいる間は極力コンタクトレンズを外して生活すると良いでしょう。
レンズケースをつねに持ち歩く
レンズケースをつねに持ち歩くのも良いでしょう。1日使い捨ての場合は替えのコンタクトレンズを、2週間交換や1か月交換の場合はレンズケースを持ち歩いていれば、さまざまなシーンで対処できます。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを選ぶ
シリコーンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズを選ぶのも良いでしょう。シリコーンハイドロゲル素材のハイスペックコンタクトレンズは、酸素透過性がきわめて高いため、目への負担を大幅に軽減できます。
コンタクトレンズは高度管理医療機器です
コンタクトレンズは、高度管理医療機器(クラス3)に分類されます。2005年4月の薬事法改正により、おしゃれ用のカラーコンタクトレンズについても厚生労働大臣の承認が必要になりました。お手持ちのものが承認を受けているかどうか、高度管理医療機器の記載を今一度確認してください。
まとめ

今回は「コンタクトレンズをつけたまま寝るとどうなる?」をテーマに、トラブルや対処法を解説しました。勉強や仕事で疲れていて、うっかり外さないで寝てしまうケースも少なくありません。コンタクトレンズをつけたままの就寝は、さまざまなトラブルを引き起こします。リスクを把握し、正しく使用しましょう。