近視はそのままにしておくと進行し、近視の度数が強くなる場合があり、また、度数が強くなると視力以外にも影響を及ぼす可能性があると言われています。近視の進行を抑える治療として効果があると言われている治療法もありますが、まずは近くの眼科で診てもらい、近視と向き合っていきましょう。
近視が強いほど様々な合併症を併発するリスクが高くなります。
これらの合併症は、視力低下だけではなく、視野欠損(見える範囲が狭くなる)などを招くことがあります。
そのため見え方の質(Quality of Vsion=QOV)が低下し、生活の質(Quality of Life=QOL)を
下げることにつながります。
近視が進行する原因の多くは眼軸長が長くなることです。眼軸長が長くなることにより起こる他の眼合併症の可能性を低減するため、点眼薬やコンタクトレンズを使用し、「眼軸長」の伸展を遅らせ、近視進行を抑制するための研究が行われています。
※2023年6月現在、本邦において厚生労働省から承認の得られた近視進行抑制を目的とした医薬品や医療機器はありません。
低濃度アトロピン(点眼薬)
有効成分アトロピンを低濃度で配合した点眼薬による点眼療法です。アトロピンを低濃度で使用することにより、副作用が少なく、近視の進行を効果的に抑えることが多くの研究で示されています。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジー(オルソK )は、特殊な形状のハードコンタクトレンズを就寝時に装用することで、角膜上皮の形状変化から近視矯正効果を生じさせ、日中は矯正具なしで良好な裸眼視力を得ようとする屈折矯正法です。近視の抑制効果があるという報告がされています。
ソフトコンタクトレンズ
多焦点ソフトコンタクトレンズは遠方と近方を見ることが出来る度数をもち、小児に使用した場合、近視進行の抑制に効果があると報告されています。
また、海外ではDual-Focusソフトコンタクトレンズなど、小児の近視進行抑制を目的とした様々なデザインのソフトコンタクトレンズが開発されています。
近視治療用眼鏡
『累進屈折力レンズ眼鏡』 を使用して、近くを見るときの調節量を軽減させ、網膜の中心部における焦点ボケを防ぐことで、近視進行の抑制効果が期待されています。
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- Ogawa A et la. The relationship between refractive errors and retinal detachment-analysis of 1,166 retinal detachment cases. Japanese journal of ophthalmology, 1988
- Marcus M et la, Myopia as a risk factor for open-angle glaucoma: a systematic review and meta-analysis, Ophthalmology, 2011