乱視のメカニズム
人がものを見るということは、「見ているもの」からくる光を目で感じているということです。通常、目に入る光は目の中でレンズの役割をする部分(角膜と水晶体)で適度に曲げられ(屈折)、目の奥の網膜で一点に集まります(焦点)。網膜に焦点を結んでいるときにはっきりものが見えます。
光がレンズを通って焦点を結ぶというのは、虫メガネが光を一点に集めることと同じ原理です。皆さんも、子供の頃に虫メガネで太陽の光を集めて黒い紙などを焦がした経験があると思いますが、それと同じことが目の中で起こっているのです。
乱視がなぜ起こるのか
乱視とは、目のレンズの働きをする部分(角膜と水晶体)がゆがんでいるため焦点が合わない状態をいいます。光を屈折させるレンズがゆがんでいたら、光はどうなるのでしょう?
このようにレンズがゆがむと、光もゆがめられて一点に集まらずにズレてしまいます。この状態が乱視です。同じことが目で起これば「乱視がある目」ということになります。
乱視の見え方
では、乱視がある目はどのような見え方になるのでしょう? 先ほどの「虫メガネ」をゆがませた絵を使って説明します。
乱視がある目では光は一点に集まらず、光はズレてしまいます。そして見る場所によって見え方が異なります。
暗い場所での乱視
乱視がある目は暗い場所でより見えにくくなり、乱視の見え方は明るさによっても違ってきます。角膜と水晶体の間には虹彩という膜があり、その真ん中あたりに瞳孔という穴が開いています。光は瞳孔を通って目の中に入り、人は瞳孔の大きさを変えることで目に入る光の量を調整しています。
暗い場所では瞳孔は広がります。広がった瞳孔から入った光は、目の中でも大きく広がり、ぼけが大きくなってしまいます。反対に瞳孔が小さくなっているときは、狭い範囲から光が入り目の中で光が広がらず、ぼけも小さくなります。見えにくい時に目を細めると見やすくなるのと同じ原理です。