前回は「乳幼児の視力と目の病気」や「子供のコンタクトレンズデビュー」についてお話しました。
今回は、子供の視力低下と、その予防方法についてお話しようと思います。

子供の視力が昔と比べて低下しているのはご存知ですか?
2012年度の学校保健統計調査によると、子供の裸眼視力が1.0未満の割合は、小学生30.7%、中学生54.4%、高校生が63.8%と発表されました。この値は30年前と比べると約1.2~1.6倍の増加となっています。

外で駆け回って遊ぶことが多かった30年前の子供に比べ、最近の子供は勉強、VDT(スマートフォンや携帯電話、ゲーム機器、パソコン、テレビゲームなど)の使用など、近くを見続けることが多い生活を送っています。さらに、室内のみならず公園や電車、車の中でも携帯型ゲームに集中している姿も良く見かけますね。

視力低下の原因は、このように近くを見続ける時間が長いことが考えられます。
遠くを見るときは、目の筋肉(毛様体筋)がリラックスして伸びることでレンズの役割をする水晶体が薄くなります。逆に近くを見るときは筋肉を縮ませ、水晶体が厚くなることでピント合わせをしています。
つまり、近くを見続けてしまうと筋肉が縮んだままの緊張した状態になるため、次に離れた所を見た時に筋肉が十分に伸びず、一時的にピントが合わせられなくなるために見えにくくなってしまうのです。

細かい作業や同じ姿勢を続けていると肩がこることをイメージしてもらうと分かりやすいと思いますが、こりを予防するには、ストレッチなどをして筋肉を伸ばし、休憩を取るのが効果的ですよね。
同じように目にも休憩をとることが大切です。近視の発生や進行を予防するためにちょっと気に掛けて以下のことを子供に習慣付けさせてみませんか?

  • 読書や勉強は、1時間くらいしたら10分程度、体をほぐすだけでなく、遠くを眺めるなどして目も休めましょう。
  • ゲームなどVDTを使用している時は特に目に負担をかけるので、30~40分したら3~5分程目を休めましょう。
  • 目を休める時、「遠く」のもの、室内であれば2~3メートル離れた所のカレンダーや時計の文字、壁に貼ってあるポスターのアイドルの顔など、目標物を決めて10~30秒くらい見つめて目の筋肉を伸ばし、リラックスさせる時間を取り入れましょう。この時、瞬きは自然にしてください。また、明るい部屋で行うと効果的ですので、夜など部屋が暗いと感じる場合には、電気をつけて行ってくださいね。

楽しいゲームなどを中断させるのはなかなか難しいと思いますが、ご家庭で時間のルールを決めて子供の視力を守ってあげたいですね。習慣付けできるまではタイマーなどを使って時間の管理をするのも良いかもしれませんよ♪

コンタクトレンズもスマートフォンも両方必要な皆さんへ

監修:医学博士 﨑元 卓(フシミ眼科クリニック)

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