コンタクトレンズメーカーは、うるおい成分を保存液に使用したり、シリコーンハイドロゲルなどの乾燥しにくいレンズ素材や新しいレンズデザインを開発したり、乾燥を感じにくいソフトコンタクトレンズを研究・開発 しています。また、ソフトコンタクトレンズ装用中の乾燥の評価もさまざまな方法が考えられています。
ドライアイ観察装置 DR-1
個人差も当然ありますが、コンタクトレンズの種類によっても涙液の状態が大きく異なります。
Aでは、瞬目直後に茶色っぽい干渉縞が上方向に広がるのが確認できます。これは涙液の油層が上方に伸展し、涙液層も安定していることを示しています。
Bの画像は、瞬目直後から油層が確認できません。涙液の乾燥を防ぐ油層がありませんので、下方から急激に乾燥が広がっていきます。
NIBUT （非侵襲涙液層破壊時間）
DR-1では、フルオレセインで涙液を染色することなく非侵襲的にBUTを測定することができます。
コンタクトレンズの素材自体の親水性、あるいはコンタクトレンズの表面の状態、汚れなど、さまざまな条件によって、コンタクトレンズ表面を覆っている涙液層の状態や蒸発の早さも変わってきます。
コンタクトレンズ表面の涙液層が蒸発しコンタクトレンズ自体が露出すると、表面が曇り、「見えにくい」という訴えにつながったり、眼瞼との摩擦が増え「ゴロゴロ」「ショボショボ」という訴えにつながったりします。これらは乾燥感の原因になります。
参考文献
- 横井則彦，丸山邦夫： コンタクトレンズと涙液．日コレ誌 48：42-48．2006．
- 丸山邦夫，横井則彦，木下茂 他： 乾燥感の軽減を目的とした1日使い捨てソフトコンタクトレンズの比較検討．日コレ誌 48：20-25．2006．
- 小玉裕司： 乾燥予防ワンデー使い捨てコンタクトレンズ．あたらしい眼科 24： 717-721．2007．
波面センサー
下のグラフは、2種類のコンタクトレンズを装用させた眼の高次収差変化量の比較です。
2種類のソフトコンタクトレンズ装用眼の高次収差を1回/秒で60回連続測定した。矢印のタイミングで瞬目（1回/10秒）させた。(n=24)
また、コンタクトレンズの種類によっても高次収差の増加（＝レンズ表面の乾燥）が異なります。
コンタクトレンズ自体の素材の違いやワンデーレンズの保存液に含まれるうるおい成分の有無によって、レンズ表面の乾燥の仕方が異なってくるという報告もあります1,2,3）。
参考文献
- Koh S, Maeda N, Hamano T, Hiroyama Y, et al. Effect of Internal Lubricating Agent of Disposable Soft Contact Lenses on Higher-Order Aberrations After Blinking. Eye & Contact Lens, vol34, 100-105, 2008.
- Salmon T, Yamada S. Objective Evaluation of Surface Drying/Wetting in Two Daily-Disposable Contact Lenses Using Aberrometry. ARVO anual meeting, 2009.
- Salmon T, 宇野奈未来, 奈良代至弘. 波面センサーを利用した1日使い捨てソフトコンタクトレンズの濡れ性の評価. 2009日本コンタクトレンズ学会総会にて発表