コンタクトレンズ装用者からの訴えで最も多いのは、「コンタクトレンズが乾く」という、いわゆる乾燥感ではないでしょうか。
特にソフトコンタクトレンズを使用している人が訴えることが多く、コンタクトレンズ装用のドロップアウトの大きな要因となっています。また、コンタクトレンズ装用はドライアイの原因の1つとも言われています。
そもそも、乾燥感とはどのような感覚なのでしょう。ヒトの感覚に乾燥を直接感じる「乾燥覚」というものはありませんので、他の感覚、たとえば、触覚、視覚などへの刺激とそのときの状況を脳で総合的に判断して「コンタクトレンズが乾燥している」と感じているのが乾燥感ということになります。つまり、一言に乾燥感といっても、同じ感覚を指しているとは言えず、現象や原因もさまざまです。
乾燥感に関する調査の報告1)によると、乾燥感の表現もさまざまで、ショボショボ、カサカサ、ゴワゴワ、シカシカ、ムズムズなどの擬態語、擬声語から、かすむ、疲れる、はりつく、こすれる、かゆい、コンタクトが外れそうなど、120種類にもなるようです。中でも、ソフトコンタクトレンズ装用者に最も多い訴えは、 「見えにくい」と「ショボショボ」で、次いで、「はりつき」「ゴロゴロ」「外れそう」「疲れ」と続きます。
参考文献
- 濱野孝,光永サチ子,小谷摂子 他:コンタクトレンズ装用に起因する「乾燥感」とその症状の調査.
眼科 49:193-190,2007.