INTERVIEW WITH DR. BRIANNA RYFF, CONTACT LENS RESIDENT

Dr. Brianna Ryffは2014年にSouthern California College of Optometryを卒業し、今はNSUのCollege of Optometryの研修医です。先月、私はDr. Ryffに興味深い症例をこのニュースレターに紹介できないかとお願いしました。Dr. Ryffのインタビューをお届けします。

Dr. Salmon: まず、オプトメトリーの研修医がどのようなもので、あなたの研修医期間の目的を教えてください。

Dr. Ryff: 研修医の期間は珍しくて難しい症例が与えられます。これは臨床技術をさらに高いレベルに引き上げるためです。NSUでの角膜とコンタクトレンズの研修医期間には、角膜が変形した患者の治療のための特殊コンタクトレンズに焦点を当てます。円錐角膜、ペルーシド角膜辺縁部変性症、RK術後、角膜移植術後、ヘルペス後の傷などに対するコンタクトレンズです。

Dr. Salmon: 興味深い症例はありましたか。

Dr. Ryff: 1980年代に円錐角膜のために両眼に角膜移植を受けた52歳のアメリカインディアンの男性ですが、左眼の菲薄化と拒絶反応により、2009年に再移植を受けました。未矯正の視力は右が0.08、左が0.29でした。検査のときに左眼は像が5つに見えたそうです。左眼はこれまでレンズを装用してきませんでした。右眼はソフトコンタクトレンズを装用した上にガス透過性ハードコンタクトレンズを装用するピギーバックシステムで0.37の矯正視力が得られていました。
スリットランプ検査では、右眼の角膜上方の実質にある深い新生血管が移植片にまで達し、拒絶反応による顕著なKhodadoustラインも観察できました。内皮の皺が移植の接合部にあり、下耳側の角膜の厚さは70%程度になっていました。内皮上には2+の色素沈着があり、びまん性の角膜ステイニングとマイクロシスト性浮腫がピギーバックシステムによって悪化していました。左眼の移植片は下方に移植時の縫い糸が残っていましたがきれいでした。上方に新生血管があり、1+の角膜ステイニングがありました。
左眼の視力と装用感を向上させて、移植片の健康状態を保つため、左眼に強膜レンズを処方しました。移植片の透明性を保ち、下方の縫い糸を残すために、16.0mmのJupiterレンズ(XO2素材)を処方して、0.91の視力が得られました。右眼のピギーバックシステムは、Synergeyes Ultra Healthハイブリッドレンズを装用するまでの2ヶ月間中止しました。内皮の健康状態を考慮して右眼には強膜レンズは入れませんでした。右眼の矯正視力は0.88が得られ、角膜ステイニングとマイクロシストは減少しました。両眼視力は0.95になりました。角膜移植片が脆弱な性質なので、患者は角膜の健康状態とコンタクトレンズフィッティングを確認するために頻繁に検査を受けておりました。

ARTICLE REVIEW

睡眠障害のある高齢者における、意識の瞑想および睡眠の質と昼間の障害の改善 -- 無作為な臨床試験
Mindfulness Meditation and Improvement in Sleep Quality and Daytime Impairment Among Older Adults With Sleep Disturbances, A Randomized Clinical Trial.
Black DS.,
JAMA Internal Medicine, published online February 16, 2015.

この記事は、睡眠障害という日本でもアメリカでも一般的な問題について調査したものです。日本やアメリカのように忙しく発展した社会では、多くの人が睡眠障害を経験します。不十分な睡眠は疲れ、ストレス、鬱、生産性の低下につながり、生活の質(QOL)を低下させます。しかし、多くの場合、治療がされていません。治療には、睡眠剤および、睡眠カウンセリングや瞑想などの非薬理学的技術があります。ロサンゼルスのカリフォルニア大学で行われたこの研究は、睡眠衛生教育と意識の瞑想の2つの非薬理学的治療を比較したものです。

対象は25名で、平均年齢は66歳。無作為に2グループに分けられました。それぞれのグループは週に1回行われる2時間のセッションに、6週間参加しました。その後、アンケートに記入してもらい、治療の効果を評価しました。睡眠衛生教育グループはプロの睡眠カウンセラーによる講義に参加しました。彼らは睡眠生理学、睡眠障害について、睡眠を改善する従来の方法について学びました。意識の瞑想グループは、意識認識、心身ともに静めさせる技術、深呼吸、過去や未来ではなく現在に集中する方法を練習しました。治療のあと、睡眠の質の向上、疲れ、鬱、不安の軽減などを評価するアンケートにおいて、両方のグループで改善が見られました。しかし、意識の瞑想グループのほうが顕著な改善がありました。意識の瞑想は睡眠障害の改善に対して有効な方法のひとつであると結論付けました。従来の睡眠カウンセリングよりも有効な方法です。多くの国に意識の瞑想が睡眠障害の対策として広がれば、睡眠カウンセリングよりも簡単に利用できる方法になるでしょう。

コンタクトレンズニュース
イギリスのエセックスにあるコンタクトレンズや眼内レンズの材料を製造している国際的な企業でContamacという会社があります。1月に開催されたGlobal Specialty Lens Symposiumにおいて、Contamac社は、Dr. Brien Holden視覚研究所の研究による近視進行抑制のための特殊レンズ開発に関する契約について発表しました。アメリカのドクターの24%は近視進行抑制のためにマルチフォーカルレンズやオルソケラトロジーレンズを使用しています。しかし、FDAの承認を得た近視進行抑制レンズはまだありません。シンガポールや香港では、CooperVisionのMySightが近視進行抑制レンズとして使われています。近視人口の増加が懸念されていて、コンタクトレンズメーカーは近視進行抑制用のコンタクトレンズの開発・販売が今後も増えていくでしょう。

GLOBAL SPECIALTY LENS SYMPOSIUM REVIEW, PART 1

GLOBAL SPECIALTY LENS SYMPOSIUM(国際特殊レンズシンポジウム)、その1
今年のGLOBAL SPECIALTY LENS SYMPOSIUM(GSLS, 国際特殊レンズシンポジウム)はラスベガスのバリーズホテルで1月22~25日に開催されました。GSLSはコンタクトレンズに関する学会ではアメリカで最大のものです。アメリカで最も一般的なコンタクトレンズ業界誌であるContact Lens Spectrumが後援しています。今年の学会には36ヶ国から約570名が参加しました。その中に6名の日本人が含まれています。次のような教育プログラムがありました。

  • 16の1時間のセッションがありました。
  • 企業が後援する8のセッションがあり、それぞれにコンタクトレンズメーカーの短い発表が6~8題含まれていました。
  • 68の研究発表ポスター
  • 受賞プログラム
  • 56の企業によるブース展示がある大きな展示会場

今年の学会で最も注目された話題は強膜レンズ、近視進行抑制、オルソケラトロジー、マルチフォーカルレンズでした。いくつかのセッションのまとめを書きます。

セッション1,2: コンタクトレンズ業界アップデート
1月22日 木曜日、14:00~16:00

Dr. Jason Nicholsは2014年のアメリカおよび世界のコンタクトレンズ処方についてまとめました。この報告の多くの部分は、私が先月のニュースレターでまとめたContact Lens Spectrumの2015年1月号に掲載されているものです。これからの5年間で次に挙げるものが増加すると予測されます。

  • 近視進行抑制用レンズ
  • 1日使い捨てレンズ
  • トーリックレンズ
  • マルチフォーカルレンズ
  • カラーレンズ
  • 強膜レンズ
  • コンタクトレンズ装用のドロップアウトを解決するための研究
  • ドラッグデリバリー、スマートレンズ

今後、ロシア、中国、トルコなどの国々でのコンタクトレンズ処方の増加が予想されます。

セッション3,4: 強膜コンタクトレンズ
1月23日 金曜日、8:00~10:00

このセッションは数名のドクターによるパネルディスカッションで、強膜レンズ使用時の問題点について次の事が議論されました。

  • レンズ装着前、患者は強膜レンズを生理食塩水で満たす必要があります。しかし、生理食塩水が角膜とコンタクトレンズの間に数時間残りますので、角膜を刺激してしまう可能性があります。Unisolの防腐剤を含まない生理食塩水、一般的なコンタクトレンズ用生理食塩水、喘息の吸入器に使用されている医療用生理食塩水などが話し合われました。
  • レンズ後面の生理食塩水に長時間接触していることにより、角膜上皮に皺や膨潤を認めることがあります。Epithelial boggingと呼ばれるこの現象の原因はわかっていません。
  • 数時間装用すると、レンズ後面の生理食塩水はくもる(にごる)ことがあります。たんぱく質、脂質、杯状細胞の破片などであると考えられますが、確かなことはわかりません。レンズと角膜間の液体(涙液と生理食塩水)の交換不良によるものだと考えられます。もっと粘性の高い液体を使用するように勧めるドクターもいます。レンズの外からの杯状細胞の破片の流入を防ぐためです。
  • レンズケアには過酸化水素を使用するかガス透過性ハードコンタクトレンズ用のケア用品、あるいはその両方を使用することを勧めていました。
  • 強膜レンズを装着するための器具も開発されています。患者が上下眼瞼を両手で開けているときに、上向きになってレンズを保持する台のようになっています。レンズに眼を乗せるように顔を下に向けて下げていきます。ライトがついているものもあり、患者はライトのほうに向かって動いていけばよいのです。
  • レンズ装着後に気泡をレンズ下に入れないようにするため、装着前にレンズ後面に入れる生理食塩水の量を多くして表面張力で液が盛り上がるくらいにすることを勧めていました。粘性の高い液体をいっぱいに満たすという方法もあります。
  • 新しいレンズのレンズ表面の水濡れ性が低い場合、そのまま待てば、患者自身のバイオフィルムがレンズをコートして水濡れ性が向上するという意見もありました。水濡れ性を保つために、注文する全てのレンズの表面にプラズマ処理をすること勧めるドクターもいました。
  • 除去が難しいくらいの汚れがついた場合には、メニコンのプロージェント(次亜塩素酸を成分とした強力洗浄液)を使用することを勧めるドクターもいました。汚れが付着する前にスケジュールを決めてプロージェントを使用するという場合もあります。
  • 強膜レンズは角膜感染症の発生が低いという点にも注目されていました。しかし、その理由はわかりません。
  • 強膜レンズのエッジから結膜が出ている場合もありますが、これは害のない状態であり、見た目ほどの心配はありません。レンズをはずしたら、結膜は元の位置に収まります。
  • 強膜レンズは装着後数時間で徐々に落ち着いてきます。結膜上に落ち着くこともあります。フィッティング検査のとき、レンズ中央に300ミクロンの間隙があることが理想ですが、8時間装用したあとに観察すると、150ミクロン程度に落ち着くこともあります。レンズのフィッティング検査をするには、装着30分後くらいが最も適しています。

来月号のニュースレターでもGSLSの続きを書く予定です。

BASIC CLINICAL TECHNIQUES

遮閉試験・カバーテスト(その4、自覚的カバーテストと上下斜視)
今回で遮閉試験・カバーテストに関する記事は4回目です。これまでに、片眼遮閉試験、交代遮閉試験、眼位ずれの角度の測定について学びました。遮閉試験は斜視や斜位を診断する有用で簡単な方法です。片眼遮閉試験は斜視を診断するときの方法(2014年12月号)で、交代遮閉試験は斜位を診断するときの方法(2015年1月号)です。先月は遮閉試験を使った斜視角の大きさの測定について学びました(2015年2月号)。いままでは横方向の斜視や斜位についてだけ説明してきましたが、上下方向でも同じように診断することができます。上下方向の斜視や斜位です。今回は、通常の遮閉試験では観察できないような小さな上下方向の斜位の診断について説明します。

小さい上下方向の斜位
通常の遮閉試験は他覚試験です。眼位のずれをドクターが観察して、斜視や斜位の診断をします。経験豊富なドクターが診断可能な眼位のずれは最低でも3~4プリズムディオプターです。これよりも小さい場合、眼球の動きが小さすぎて観察できません。しかし、上下方向の斜位は0.5~1.0プリズムディオプター程度でも目の疲れや眼精疲労の原因になる事があります。上下方向の斜位のある患者は読書中に読んでいる場所を見失い、行を飛ばしてしまったり、他の読書中の不便を経験することがあります。小さな眼位のずれを診断するには、自覚的な遮閉試験を使います。

手順
上下方向の斜位を診断する自覚的遮閉試験は以下の方法で行います。

  1. 観察可能な斜視や斜位を除外するために通常の遮閉試験を行います。眼に動きがない場合には自覚的遮閉試験を始めてください。
  2. 屈折矯正をした状態で遠方の視力表の視標のどれかひとつを固視させます
  3. 左右の眼を交互に遮蔽します。1秒ごとに遮閉板を動かします。
  4. 遮閉板を動かしたとき、見ている視標が上下方向や斜め方向に動くように見えるかどうかを患者に確認してください。
  5. 視標が上下方向や斜め方向に動いて見えていると患者が言ったら、上下方向の斜位があるということです。

眼位ずれの方向
患者に上下方向の斜位があるなら、遮閉をはずしたときの眼の動きと同じ方向に視標も動くように見えます。たとえば、次のようになります。

  • 右眼の遮閉をはずしたときに視標が下方に動くように見えた場合、右眼が上斜位ということになります。
  • 左眼の下斜位は、左眼の遮閉をはずしたときに視標が上方に動きますが、右眼の上斜位と左眼の下斜位は同じものです。
  • 右眼の遮閉をはずしたときに視標が上方に動いた場合、右眼が下斜位ということです。
  • 左眼の上斜位は、左眼の遮閉をはずしたときに視標が下方に動きますが、右眼の下斜位は左眼の上斜位と同じものです。

眼位ずれの大きさの診断
眼前にベースアップあるいはベースダウンのプリズムを置き、眼位ずれの大きさを測定します。患者が指標の動きがなくなったと言うまでプリズムを調整します。上斜位にはベースアッププリズム、下斜位にはベースダウンプリズムを使用します。

横方向の斜位のための自覚的遮閉試験
自覚的遮閉試験は横方向の斜位にも適用できます。原理は同じです。遮閉をはずしたほうの眼が動く方向と同じ方向に視標が動いたように見えます。つまり、

  • 外斜位の場合、遮閉版の動くのと同じ方向に視標が動くように見えます。遮閉板を右眼から左眼に動かしたときには、視標も右から左に動いているように見えます。
  • 内斜位の場合には、遮閉版と逆方向に視標が動くように見えます。遮閉板を右眼から左眼に動かしたときには、視標が左から右に動いているように見えます。

今回で、遮閉試験の解説は最終回です。この検査は眼位に関する情報を得るのに非常に有用で単純な検査なのですが、結果を正しく解釈するには一定の技術を要し、練習が必要になります。

(翻訳: 小淵輝明)

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