NEW RESEARCH FROM OPTOMETRY AND VISION SCIENCE

Comparative Evaluation of Asian and White Ocular Topography
アジア人と白人の角膜トポグラフィの比較評価
Curran SH, Brennan NA, Igarashi Y, Young G.
Optom Vis Sci 2014;91:1396-1405.

世界中で同じコンタクトレンズが使われ、非常に広い範囲の眼に対して処方されています。しかし、人種間で眼の大きさや形状が異なっていれば、コンタクトレンズのフィッティングにも影響が出るのではないでしょうか。この研究では、アジア人と白人のコンタクトレンズ患者を比較して、角膜や眼瞼などの寸法で人種間の違いがあるかを検討しました。表1に被験者数をまとめました。被験者は、中国、日本、オーストラリア、アメリカから集められ、統計処理上、オーストラリアとアメリカからの被験者をまとめて白人のグループとしました。

Medmont E300 角膜トポグラファーとスリットランプに取り付けたデジタルカメラを使用し、角膜および眼瞼の寸法データを15ヶ所測定し、二重まぶたと蒙古ヒダの有無についても記録しました。表2に測定した眼の測定項目のいくつかを示します。図1に測定した箇所の例を示します。図2~8に日本人、中国人、白人の測定結果を示しました。図2~6に示したデータは人種間で全てに有意な差がありました。それぞれのグラフにコメントをつけました。

1. 眼の測定部位を3種類、写真で示します。内眼角と外眼角を結んだ線の角度(眼の傾き)、水平方向の虹彩径、瞼列幅(垂直方向)

図2. 水平方向のケラトメトリー測定値の平均。各グループ内でもバラツキが大きく、標準偏差は約0.25mm(1.25D)でした。中国人と日本人の差は0.32D程度です。臨床的にソフトコンタクトレンズのフィッティングに影響を及ぼす差とは言えません。日本人と白人は0.71Dの違いがあり、白人のほうがスティープな角膜といえます。この差もほとんどのソフトコンタクトレンズや強膜レンズにとって臨床的に有意な差ではないでしょう。つまり、平均的な日本人の眼に合うソフトコンタクトレンズのベースカーブで平均的な白人の眼にも合うということです。しかし、ハードコンタクトレンズレンズを処方する場合には別のベースカーブを選択する必要があるでしょう。垂直方向のケラトメトリー測定値の差はグループ間で有意な差がありませんでした。

図3. 水平方向の虹彩(可視部分)径の平均。平均的に見ると、日本人と中国人の眼は白人よりも0.5mm程度小さく、日本人の眼は中国人の眼よりも若干小さいです。アジアの国々でサークルレンズの人気が高い要因のひとつかもしれません。サークルレンズはアメリカではほとんど知られていません。

図4.水平方向の角膜サジタルデプス(10mm径における角膜の深さ)の平均。垂直方向の角膜サジタルデプスの各グループ間の差は水平方向と同じような傾向を示しました。サジタルデプスは白人の目が最も大きかったのですが、それは白人の角膜が最もスティープな形状をしていた(図2)ことを考えると頷けます。中国人の眼のサジタルデプスは白人や日本人よりも小さかったです。これらのサジタルデプスの差は、理論的には、ソフトコンタクトレンズや強膜レンズのフィッティングに影響するはずです。しかし、差が小さいため臨床的な違いにまでは結びつきません。

図5.瞼裂幅(垂直方向)の平均。予測したとおりに、中国人の瞼裂幅は白人よりも狭く、日本よりの狭かったです。この結果はソフトコンタクトレンズ処方時に少し影響が出るかもしれません、コンタクトレンズのフィッティングに影響するであろう眼瞼圧も人種間で異なるのではないでしょうか。しかしそのデータはこの研究では測定しませんでした。

図6. 水平方向の眼の幅の平均。図5に示した瞼裂幅(垂直方向)の傾向と同じ傾向が見られました。

図7. 内眼角と外眼角を結んだ線の角度(眼の傾き)の平均。中国人の眼の傾きは、日本人や白人の眼の傾きよりも1度大きくなっていますが、それぞれのグループの標準偏差は約3度あります。

図8. 二重まぶたの出現率。二重まぶたは白人のほぼ100%、日本人と中国人の2/3に見られました。また、蒙古ヒダは日本人の77%、中国人の64%、白人の4%に見られました。

この研究により、アジア人および白人の眼の形状的な違いを確認できました。いくつかの点で日本人と中国人の間にも統計学的にも有意な差があることもわかりました。おそらく、他のアジアの人種と比較しても中国人や日本人と異なる点が出てくるでしょう。角膜の曲率、サジタルデプス、角膜径、眼瞼形状などの特定のデータに違いがあれば、コンタクトレンズのフィッティングにも影響してくるでしょう。特に眼瞼の形状はトーリックレンズを装用したときの安定性に大きく影響します。しかし、これらの違いが臨床的にコンタクトレンズフィッティングにどの程度影響するのか予測することは困難です。

Clinical and Biochemical Tear Lipid Parameters in Contact Lens Wearers.
コンタクトレンズ装用者の涙液脂質の臨床的、生化学的パラメータ
Rohit A, Willcox MDP, Brown SHJ, Mitchell TW, Stapleton F.
Optom Vis Sci 2014;91:1384-90.

この研究では、20名のコンタクトレンズ装用者の涙液脂質を分析し、涙液の脂質層を保護して涙液層破壊を防ぐように設計された脂質スプレーの試験を行いました。被験者に下方視させて上眼瞼の上に脂質の溶液をスプレーしました。ドライアイの検査をするように非侵襲的BUT(涙液層破壊時間)をスプレー後に測定しました。また、比較対照として生理食塩水をスプレーした後にも測定しました。生理食塩水をスプレーしたよりも脂質スプレーをしたときのほうが6時間程度BUTが長い状態が維持され、快適性が継続しました。脂質スプレーはコンタクトレンズ装用者にとって新しい効果的なドライアイ治療法になるかもしれません。

Prevention and Removal of Lipid Deposits by Lens Care Solutions and Rubbing.
レンズケア製品とこすり洗いによる脂質付着の予防と除去
Tam NK, Pitt WG, Perez KX, Hickey JW, Glenn AA, Chinn J, Liu XM, Maziarz EP.
Optom Vis Sci 2014;91:1430-9.

この研究の目的は、2種類のシリコーンハイドロゲルレンズへの脂質付着を2種類のマルチパーパスソリューション(MPS)でどの程度防げるかを評価することです。試験に用いたMPSはPureMoist (alcon)とBiotrue (Bausch + lomb)の2種類で、こすり洗いをした場合としない場合でも比較しました。どちらのMPSも脂質付着を防ぐ効果はありませんでした。また、こすり洗いをしてもほとんど脂質は除去されませんでした。MPSは脂質付着の予防や除去に効果はありませんでしたが、消毒や他の汚れの除去には有用です。

Correlation between Tear Osmolarity and Tear Meniscus.
涙液の浸透圧と涙液メニスカスの相関関係
Resua CG, Pena-Verdeal H, Remeseiro B, Giraldez MJ, Yebra-Pimentel E.
Optom Vis Sci 2014;91:1419-29.

117名を対象に、涙液浸透圧を測定し、下眼瞼に形成される涙液メニスカスのビデオ撮影を行いました。涙液メニスカスの高さを自動計測するソフトを使いました。また、静止画を用いて涙液メニスカスを等級分けしました。その結果、涙液メニスカスの測定値と涙液の浸透圧のスコアの間に高い相関があることがわかりました。特にドライアイ症状のある年配者で顕著でした。涙液浸透圧と涙液メニスカスは両方ともドライアイの診断に有用でしょう。

BASIC CLINICAL TECHNIQUES

遮閉試験・カバーテスト (その2、交代遮閉試験)
カバーテストは眼位を検査するのに非常に簡単で有意義な検査です。通常の両眼視機能を得るために適正な眼位が必要です。両眼視をするためには、両眼が同じものを見る必要があります。そうでなければ、脳が2つの異なる像を受け取ってしまい、両眼の融像ができません。遮閉試験は次の2種類の眼位異常を診断するための検査です。

  • 斜視
  • 斜位

斜視
斜視は両眼視を阻害する大きな眼位のずれです。つまり、斜視がある患者は両眼が開いていても、両眼視は不可能です。斜視のあるほうの眼は眼位がずれていますので、斜視のないほうの眼で見ていることになります。斜視のある眼の多くには他の異常もあります。弱視(小児期の視力の発達が不完全だったことによる視力不良)や抑制(脳が斜視の眼からの情報を無視します)などです。

斜位
斜位の場合、患者は両眼視が出来ます。つまり、両眼が開いていれば、患者は両眼で見て、その二つの画像が脳で融像され、ひとつのイメージとして認識します。これが斜視と斜位の一番大きな違いです。斜視は両眼視が出来ませんが、斜位は両眼視が出来るのです。斜位のある患者が両眼を開けてみていれば、両眼が正しい方向を向くのです。

Question; 両眼が正しい方向を向くのであれば、斜位はなぜ眼位異常と考えられているのでしょうか。

Answer; 斜位では、両眼で見ることを邪魔したときにだけ、眼位がずれます。両眼からの画像が融像されないとき、眼は楽になる方向を向きます。たとえば、右眼を遮蔽すると、左眼だけで見ていることになり、両眼視が阻害されます。そのときに遮蔽された右眼は楽になる方向に向きます。外斜位の場合は外側に、内斜位の場合は内側に眼位がずれます。少しの程度の斜位ならほとんどの眼にありますし問題にはなりません。しかし、斜位の程度が大きすぎると、疲れ眼などの原因になります。

原理
この遮閉試験には2種類あります。

  1. 片眼遮閉試験(先月のニュースレターを参照)
  2. 交代遮閉試験

まず、斜視の有無を調べるために片眼遮閉試験を行います。斜視がなければ、交代遮閉試験を行い、斜位の有無を調べます。交代遮閉試験は片眼遮閉試験よりも理解しやすいです。次の原理に基づきます。

  • まず、片眼を遮蔽して、両眼視を阻害します。
  • 患者に斜位があれば、遮蔽した眼は楽な方向を向き、その眼がずれます。
  • 遮蔽をはずして両眼視できるようにすると、遮蔽されていた眼は両眼視ができるように正常な方向に戻ります。
  • 斜位の位置からまっすぐ前を向く位置に戻ります。このとき、斜位の眼が内側(鼻側)に向かって動いたら、外斜位ということになり、斜位の眼が外側(耳側)に向かって動けば、内斜位ということになります。

図9. 交代遮閉試験では、片眼を遮蔽し、次に反対の眼を遮蔽します。そして、遮閉をはずした時のそれぞれの眼の動きを観察します。

手順
私は片眼遮閉試験を行った後に交代遮閉試験を行っています。手順は以下のとおりです。

  1. 患者に完全矯正の眼鏡かコンタクトレンズを装用させます。両眼で視力表の中のひとつの視標を見てもらいます。
  2. 右眼を遮蔽します。
  3. 遮眼子を左眼に移動させます。そのときに右眼が動くかどうか観察します。
  4. 右眼が動いた場合、動いた方向を記録します。鼻側に向かって動いたか、耳側に向かって動いたかを確認するのです。
  5. 次に、遮眼子を左眼から右眼に移動させます。そのときに左眼が動くかどうか観察します。
  6. 左眼が動いた場合、動いた方向を記録します。斜位がある場合には、左眼の動きは右眼が示した動きと方向も動きの大きさも同程度になります。右眼が鼻側に動いていたなら、左眼も同様に鼻側に動くことになります。
  7. 斜視が認められなかった患者に交代遮閉試験を実施して、遮閉をはずしたときに眼の動きがあれば、斜位ということになります。鼻側に向かって動いたときは外斜位、耳側に向かって動いたときは内斜位ということになります。

これが、交代遮閉試験の方法であり、交代遮閉試験を行うことによって斜位の有無と外斜位なのか内斜位なのかを診断することができます。

来月のニュースレターでは、遮閉試験を通じて斜視と斜位の大きさをどのように測定するのかを解説します。遮閉試験の理解を深めるために、遮閉試験を疑似体験できるウェブサイトがありますので、そちらもお勧めします。

(翻訳: 小淵輝明)

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