CONTACT LENS & HEALTH NEWS

CooperVisionがSauflonを買収
CooperVisionの親会社であるThe Cooper Companiesは、Sauflon Pharmaceuticalsを7億ポンド(約12億ドル)で買収したことを8月に発表しました。SauflonはイギリスのオプトメトリストAlan Wellsが1985年にロンドンで創業した会社です。Sauflonは50カ国以上で製品を販売しています。この買収によってCooperVisionは、1日使い捨てのシリコーンハイドロゲルレンズ、Claritiシリーズを含むコンタクトレンズ製品を獲得しました。Claritiシリーズには単焦点レンズ、トーリックレンズ、マルチフォーカルレンズがあります。

Dr. Brien HoldenがAmerican Academy of Optometry Prentice Medalを授与される
Dr. Brien Holdenは世界で最も有名で尊敬されているコンタクトレンズ研究者の一人です。Dr. Holdenは、1976年にオーストラリアのニューサウスウェールズ大学にCCLRU(Cornea and Contact Lens Research Unit, 角膜・コンタクトレンズ研究所)を設立しました。また、彼はコンタクトレンズ装用による角膜の酸素欠乏に関する研究のパイオニアであり、彼の研究が後のシリコーンハイドロゲルレンズの開発につながりました。コンタクトレンズ研究のあらゆる面において先頭を走り、ソフトトーリックレンズの開発にも携わりました。そして、彼の興味はコンタクトレンズの枠を超えて広がりました。発展途上国におけるヴィジョンケアや近視研究に関する提唱者の一人でもあります。ヒューストン大学オプトメトリ学部の学部長であるDr. Earl Smithは、Dr. Holdenについて「我々の世代で最も影響力の大きいオプトメトリスト」と称しました。アメリカオプトメトリ協会は、11月にデンバーで開かれる学会で、最高の学術賞である2014 Charles F. Prentice MedalをDr. Holdenに授与するとのことです。

アメリカで開催予定の主な学会

MYOPIA RESEARCH – MULTIFOCAL SOFT CONTACT LENSES FOR MYOPIA CONTROL

近視に関する研究 -マルチフォーカルコンタクトレンズによる近視抑制―
過去数世代、特にここ10~20年の小児の近視の大幅な増加は、世界的な近視の研究に対する興味を促しています。近視の蔓延に対する効果的な処置に関する科学的エビデンスは蓄積されています1)。新しいエビデンスに基づく近視に対する新しいアプローチを採り入れてようとしている医師は増えています。しかし多くの医師はまだ確信を持っていないのが現状で、近視を抑制するための処方はまだ臨床現場でのスタンダードになっていません。6月に近視に関する研究のまとめのシリーズを始めました。このシリーズでは次のことについて書いています。

  • 近視研究の概要(2014年6月)
  • 動物を用いた研究(2014年8月)
  • マルチフォーカルコンタクトレンズ(今月)
  • オルソケラトロジー(2014年10月)
  • 日光と野外活動(2014年11月)

2013年の日本コンタクトレンズ学会や今年のGlobal Special Lens Symposium で世界的に有名なコンタクトレンズ研究者であるDr. Brien Holden は、最新の科学的発見を臨床現場にも取り入れるように勧めていました。特に、小児の近視進行に対する処置としてマルチフォーカルコンタクトレンズを処方するようにと訴えました。近視の原因や近視抑制に対する最も効果的な方法を完全に解明するにはさらなる研究が必要ですが、2種類の光学的矯正が近視進行を有意に抑制することは、研究者の間では周知の事実です。2種類の矯正法とは、

  • マルチフォーカルコンタクトレンズ
  • オルソケラトロジー

今月はマルチフォーカルコンタクトレンズを用いた近視進行抑制の科学的エビデンスについて解説します。

近視の低矯正
多くの医師や患者は、読書のし過ぎや過度の調節が近視の原因であると信じています。その理論に基づいて、近視を低矯正にする医師はたくさんいます。つまり、眼鏡などを処方するときに遠くが見えるマイナス度数よりも弱い度数にするということです。Dr. TokoroとDr. Kabeの古い研究ではその理論を支持しています2)。しかし、最近の研究によると近視の低矯正は近視を抑制できないばかりか、近視を進めてしまう可能性も示されてきています3,4)。


Dr. Allerの初期の研究
1990年代の終わりにDr. Allerはマルチフォーカルコンタクトレンズに本来の機能とは別のメリットがあることを偶然発見しました。彼はもともとコンプライアンスを良くするために累進多焦点眼鏡の代わりとしてマルチフォーカルコンタクトレンズを処方しました。すると、マルチフォーカルコンタクトレンズを装用している患者の近視進行が遅くなっていることがわかってきたのです。2000年から2008年の間にそのことを確認するための追跡調査をいくつか実施しました。マルチフォーカルコンタクトレンズを装用している患者の近視進行が有意に遅くなっているだけではなく、眼軸の伸長も遅くしていることが示されました5,6,7,8)。
彼の最初の研究は広く認められてはいませんでした。しかし、それがCooperVisionのMiSightの開発に生かされました。CooperVision MiSightは近視進行抑制用レンズとしてシンガポールなどで処方されているコンタクトレンズです。Dr. Allerは、近視進行を抑制するために最も効果的な光学部の設計は、網膜周辺部に近視性のボケを作ることであると結論付けました。網膜周辺部の近視性のボケは、マルチフォーカルコンタクトレンズかオルソケラトロジーによって作ることができます。Dr. Allerはカリフォルニアにある彼自身の診療所で近視進行抑制の専門的な治療を継続しています。(draller.com)

Dr. Allerの研究結果の検証
Dr. Allerの仮説を検証する3つの続報が2011~2013年に発表されました。Dr. AnsticeとDr. Phillipsは、近視の小児(11~14歳)40名を対象とした試験を行いました。片方の眼にカスタムデザインのマルチフォーカルコンタクトレンズ(図1)を装用させ、反対の目に単焦点コンタクトレンズを装用させました。目とレンズの組み合わせは無作為に割り付けました。屈折異常の変化と眼軸長の変化を10ヶ月間の装用後(期間1)に測定しました。検査は盲検で行われました。左右のレンズを入れ替えて、さらに10ヵ月間の装用後(期間2)に同様の測定を行いました。マルチフォーカルソフトコンタクトレンズを装用した眼は、期間1と期間2を通して近視の進行が50%遅くなり、眼軸長の伸展が50%遅くなりました。(図2)

Dr. SankaridurgとDr. Holden11)は、7~14歳の中国人で近視の小児45人にカスタムデザインの中心遠用度数のマルチフォーカルコンタクトレンズ(Lotrafilcon B, Ciba Vision)を装用させ、眼鏡で矯正している小児40人と比較しました。それぞれのグループは、年齢、性別、屈折異常、眼軸長、両親の近視などの条件を合わせてあります。1年後に行った検査時に、マルチフォーカルコンタクトレンズを装用したグループの近視進行と眼軸の伸長が約33%遅くなっていました。
Dr. Wallineも似た結論に達しました12)。彼は、8~11歳の近視の小児27人の近視進行について調べました。対象にCooperVisionのPloclear Multifocal(クーパービジョン・ジャパンのプロクリア ワンデー マルチフォーカルとは別の製品です)の中心遠用タイプ加入度数+2.00Dのレンズを装用させました。屈折異常と眼軸長をの変化を測定し、32名分の比較対照データと比較しました。比較対照は試験グループと年齢、性別、を合わせた近視眼32人分のデータで、1Day Acuvue単焦点レンズを装用させたものです。2年間の装用後に検査を行った結果、マルチフォーカルコンタクトレンズ装用グループは近視進行が50%少なく、眼軸長の変化が29%少ないと言う結果が得られました。

近視進行抑制用として使用できる製品
文献13,14によると、CooperVisionのProclear MultifocalとBiofinity Multifocal(共にクーパービジョン・ジャパンで販売しているものとは別の製品です)は単焦点コンタクトレンズと比較して、網膜周辺部に近視性のボケを作ることが示されています。これら2製品に関しては小児の近視抑制用として良い選択になるでしょう。文献15では、加入度数+2.00Dのレンズが用いられ、遠方の視力も良好でした。しかし、暗い場所では、マルチフォーカルコンタクトレンズの見え方は単焦点レンズに劣ります16)。網膜周辺部の近視性ボケはオルソケラトロジーレンズでも作れます。オルソケラトロジーによって近視進行を抑制したとする研究もあります。これらに関しては来月のニュースレターで解説したいと思います。

参考文献

  1. Grosvenor TP. The myopia epidemic: Nearsightedness, vision impairment and other vision problems. Ferndale, WA: Twenty Twenty Publications; 2002.
  2. Tokoro T, Kabe S. Treatment of the myopia and the changes in optical components. Report 2. Full- or under-correction of myopia by glasses. Acta Soc Ophthalmol Jpn 1965;69:140-44.
  3. Adler D, Millodot M. The possible effect of undercorrection on myopic progression in children. Clin Exp Optom 2006;89:315-21.
  4. Walline JJ, Lindsley K, Vedula SS, Cotter SA, Mutti DO, Twelker JD. Interventions to slow progression of myopia in children. Cochrane Database Syst Rev 2011;12:CD004916.
  5. Aller TA, Grisham D. Myopia control with bifocal contact lenses. Optom Vis Sci 2000;77(Suppl.):92.
  6. Aller TA, Laure A, Wildsoet C. Results of a one-year prospective clinical trial (CONTROL) of the use of bifocal soft contact lenses to control myopia progression. Ophthal Physiol Opt 2006;26(Suppl.):8.
  7. Aller T. Myopia progression with bifocal soft contact lenses – a twin study. Optom Vis Sci 2002;79(Suppl):179.
  8. Aller TA, Wildsoet C. Bifocal soft contact lenses as a possible myopia control treatment: a case report involving identical twins. Clin Exp Optom 2008;91:394-9.
  9. Aller T, Wildsoet C. Optical control of myopia has come of age: or has it? Optom Vis Sci 2013;90:e135-7.
  10. Anstice NS, Phillips JR. Effect of dual-focus soft contact lens wear on axial myopia progression in children. Ophthalmology. 2011 Jun;118:1152-61.
  11. Sankaridurg P, Holden B, Smith E, Naduvilath T, Chen X, Lazon de la Jara P, Martinez A, Kwan J, Ho A, Frick K, Ge J. Decrease in rate of myopia progression with a contact lens designed to reduce relative peripheral hyperopia: one-year results. Invest Ophthalmol Vis Sci 2011;52:9362-7.
  12. Walline JJ, Greiner K, McVey ME, Jones-Jordan LA. Multifocal Contact Lens Myopia Control. Optom Vis Sci 2013;90:1207-14.
  13. Kang P, Fan Y, Oh K, Trac K, Zhang F, Swarbrick HA. The effect of multifocal soft contact lenses on peripheral refraction. Optom Vis Sci 2013;90:658-66.
  14. Berntsen DA, Kramer CE. Peripheral defocus with spherical and multifocal soft contact lenses. Optom Vis Sci 2013 Nov;90:1215-24.
  15. Lopes-Ferreira D, Ribeiro C, Neves H, Faria-Ribeiro M, Queirós A, Villa-Collar C, Jorge J, González-Méijome JM. Peripheral refraction with dominant design multifocal contact lenses in young myopes. J Optom 2013; 6:85-94.
  16. Kollbaum PS, Jansen ME, Tan J, Meyer DM, Rickert ME. Vision performance with a contact lens designed to slow myopia progression. Optom Vis Sci 2013;90:205-14.

BASIC CLINICAL TECHNIQUES - KERATOMETRY

ケラトメトリ
ケラトメーターはオフサルモメーターとも呼ばれ、角膜中央部のカーブを測定する機器です。ケラトメーターの測定データは次の目的に用います。

  • ハードコンタクトレンズのベースカーブ選択の目安にします。
  • 白内障手術の前に眼内レンズのパワーを予測するのに用います。
  • 乱視度数を他覚的に推測します。

図3 はマニュアルのケラトメーターです。このマニュアルケラトメーターは、Bausch and Lombで開発されました。

使用方法
ケラトメーターを使用する前に、標準球を用いてキャリブレーション(目盛りの調整)を行い、視度の調整を行います。そして、以下の手順に従って、マニュアルケラトメーターを使用して角膜曲率を測定します。このBausch and Lombケラトメーターはアメリカで最も多く使われているマニュアルケラトメーターです。

  • あご台に患者のあごを乗せて、目の高さがケラトメーターの開口部に一致するように機器の高さを調整します。そして、頭を安定させるために額を額バーにしっかりつけます。
  • 測定しないほうの眼をふさぎ、ケラトメーターの開口部の中をまっすぐ見るように指示してください。
  • アイピースを通して覗き、右下のマイヤーリングが焦点を合わせるための十字に一致するように上下左右に調整します。
  • ケラトメーターの位置を前後に動かして、右下のマイヤーリングが二重に見えなくなる位置になるまで調整します。焦点が合わないと、マイヤーリングは二重になって見えます。
  • 左マイヤーリングにある+(プラス)マークと右下のマイヤーリングにある+(プラス)マークに注目します。ケラトメーターの筒を時計回り、あるいは反時計回りに回転させ、両方のプラスマークの縦棒を完全に一致させます。プラスマークが重ならない程度にお互いに近くにあれば、最も簡単に一致することができます(図5)。
  • ケラトメーターの左側にある水平方向パワー調整ダイヤルを回し、左のマイヤーリングのプラスマークと右下のマイヤーリングのプラスマークを重ね合わせます。
  • ケラトメーターの右側にある垂直方向パワー調整ダイヤルを回して、上方のプラスマーク(マイナスマークのこともあり)と右下のマイヤーリングのプラスマークを重ね合わせます。
  • 測定中、焦点合わせとマイヤーリングの位置あわせを行います。
  • また、患者に目を開けること、頻回に瞬きをすることの指示も出します。患者の眼が乾けば、マイヤーリングはぼけてゆがみます。
  • 水平方向のパワーと垂直方向のパワーと方向をそれぞれ読み取ります。


データの解釈と使用法
D(ディオプター)で表示される値は、角膜中央部の曲率を屈折力(パワー)で表したもので、直交する2 つの経線方向それぞれで出ます。多くの場合、曲率がフラットなほうの経線(弱主経線)は水平方向に近く(表2 の42.25D)、スティープなほうの経線(強主経線)は垂直方向に近くなります(表2 の44.25D)。2 つの経線のパワーの差が角膜乱視の度数になります。弱主経線の方向(表2 の170°)がマイナスで表記したときの円柱軸になります。表2 の例で見ると、角膜乱視は、〔-2.00D Ax.170〕 となります。
ハードコンタクトレンズのベースカーブの目安に用いるときなどは、ディオプター(D)の値を曲率半径(mm)に換算してから使います。換算は次の式で簡単に計算できます。

このようなケラトメーターの値は、白内障術の前に眼内レンズの度数を計算するときにも用います。

乱視の推定
2.0D以上の乱視のある患者がいて、自覚的屈折検査時に反応が鈍かったら、屈折度数を出すのに他覚的検査に頼らざるを得ません。乱視が強いほとんどの場合は、マイナスで表した乱視の軸は水平方向になります。このような場合、ケラトメーターの値が乱視度数を決めるのに役立ちます。Javalの法則はこのようなときのために考案されたのですが、私はもっと簡単で有効な方法を見つけました。角膜乱視から約0.5Dを減らして、それを屈折検査の乱視度数として用いるのです。
角膜の弱主経線方向を乱視軸にします。表2の例で見ると、〔-1.50D Ax.170〕 となります。
最近ではオートレフラクトメーターや角膜トポグラファーでケラト値が測定できますので、マニュアルケラトメーターを使う人はだんだんと少なくなってきています。どの機器を用いて測定した値であっても、ここで書いた解釈と使用法が適用されます。

(翻訳: 小淵輝明)

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