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世界の肥満
イギリスの医学誌Lancetに、「世界的、地域別、国別に見た、子供と大人の体重過多と肥満の割合(1980~2013年)」という記事が掲載されました。多数の研究者で構成された国際的な調査団が1769編の出版物と文章を調査しました。それらには世界中の19,244人の患者データが含まれています。世界的にみるとBMI指数が25以上の肥満の成人は29%(1980年)から37%(2013年)に増加していました。子供の肥満も同様に有意に増加していました。これは公衆衛生に対して悪い影響を与えるもので、世界的にこの傾向があると言えます。また残念なことに、肥満を減らすことが出来た国はありませんでした。

オプトメトリーアスリート
Dr. Steven Rosinskiは、アメリカのオプトメトリー開業医です。また彼は、アイアンマン70.3のアメリカランキングに入るくらいのアスリートでもあります。アイアンマン70.3は、水泳1.9km、自転車90km、長距離走21.1kmを走るトライアスロン競技です。距離を全て足すと113kmになり、マイル換算すると70.3マイルになります。アイアンマン70.3の名前の由来がこれです。Dr. Rosinskiはプロクリア ワンデーを愛用しており、CooperVisionがスポンサーになっています。

 

FEATURE ARTICLE

最近の近視に関する研究のまとめ
眼科の専門家であれば誰でも近視や近視の光学的な矯正法について精通しています。近視は世界的にみても視覚障害の最も多い原因であり1)、眼科を訪れる多くの患者は近視によるものです。これまで、近視は眼鏡やコンタクトレンズで簡単に矯正できるものと考えられてきましたので、眼科医は臨床現場での近視の矯正を医師以外の検査員任せにしていました。眼科分野の臨床研究者たちは近視にあまり興味を持たず、近視患者たちは近視を治せないものと考えています。視力表で1.0が見えるように光学的に矯正できたら、医師も患者も満足します。

しかし、ここ数年で近視の進行と近視の治療は眼科の臨床研究分野で注目されるようになってきました。この20~30年で近視が異常に増加したため、近視治療法の発見に期待が高まりました。成長期の子供に対しては特にそうです。そして、研究者たちは近視の原因を理解し始め、子供の近視予防や近視進行を遅らせる方法も発見しています。

この記事は、最新の近視に関する研究を紹介し、次のようにまとめました。

  • 近視による負担
  • 近視の疫学
  • 最近の近視の増加
  • 危険因子
  • 近視への対処

近視による負担
近視はあらゆる場面で生活の質(QOL)を低下させます。近視を矯正していなかったり低矯正であれば、満足な遠方の視力が得られず、次に挙げたあらゆる面で生活の質を低下させます。

  • 教育
  • 仕事の遂行
  • 市民の安全
  • 社会的交流

近視患者が普通に見えて普通に生活するために、診療を受けて、眼鏡やコンタクトレンズで近視を矯正する必要があります。それは患者や社会にとって経済的な負担になるものです。アメリカでは、近視矯正にかかるコストは毎年約50億ドルで、世界的にみると約450億ドルかかっています2)。
残念なことに、近視矯正は新たな問題を生み出しています。眼鏡をかける事自体が不快になったり、不便になったりすることがあり、また、光学的あるいは安全面からの問題を引き起こすこともあります。コンタクトレンズ装用が不快感や眼障害の原因になることもあります。屈折矯正手術にも危険性があり、高次収差の増加のような有害な副作用もあります。眼鏡やコンタクトレンズに頼っている患者であれば、眼鏡やコンタクトレンズが急になくなってしまったら、不便で危険な状態に陥ることもあります。それに、近視は時間とともに進行することがありますから、きちんと矯正されていたとしても、近視が進んでしまえば、新たな矯正が必要になってしまいます。

その他にも、近視が視覚障害につながるような眼障害の危険因子になることもあります。

  • 緑内障
  • 白内障
  • 網膜剥離
  • 近視性の黄斑変性症や他の網膜疾患

これまで近視を生理的な弱度近視と病的な強度近視に分けて考えてきましたが、近視の強弱に関わらず上記の危険性は正視と比較して増加します。しかし強度近視と弱度近視では強度近視のほうが危険度は高いようです3)。

近視の疫学
世界の視覚障害の半数は屈折異常の未矯正で、そのうちの60%は近視です4)。世界的にみると少なくとも5億人が近視です5)。これは非常に重要な問題であり、世界保健機構(WHO)は失明を減らすために世界的に取り組んでいる5つの優先事項のうちの1つとして近視を認定しています6)。
国によって近視の発生率は異なり、6歳児の近視の割合は1%(オマーン)から29%(シンガポール)と大きく違います4)。
一度近視になると、近視は徐々に進行し、大人になるまで毎年-0.5D程度進みます。近視の進行していく比率はアジアの国々で高いものになっています(図2)7)。

大人の近視の割合も国によって異なり、メラネシアで3%、アジアの一部では80~90%となっています3)。ある研究によると、韓国軍に入隊した人の97%が近視だったようです8)。

最近の近視の増加
近年、近視が急激に増加してきたため、近視は医師、患者、公衆衛生当局者の間で大きな関心事になりました。58,000人のヨーロッパの成年を対象としたメタ解析1)によると、生まれた年を10年単位で比べると、近視の割合が増加し続けていることがわかります(表1)。表2に3つの国における近視の割合の傾向を示します。最近の近視の増加を「近視の異常発生」とも言っていますが、これは100年以上前に始まったとする研究もあります9)。

近視の危険因子
近視の割合は発展途上の地域では低くなっています。最も近視の割合が高いのは東アジアで、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパ諸国と比較しても高いです。近視の発生率と関係すると考えられる要因を次に挙げますが、要因同士の相互関係や近視進行の詳細なメカニズムは未だにわかっていない部分も多いです。

  • 教育
  • 都市化
  • 近方での作業
  • 両親が近視
  • 屋外より室内で費やす時間

近視の両親が増えると、子供の近視の発現も増加しているとした、近視の遺伝的な要素を示している研究もあります10)。近視に関連する特定の遺伝子を発見した研究もあります9)。しかし、両親が近視である子供が全て近視ということでもありません。

近視の要因としては、遺伝的要素よりも環境による要素の方が重要であると考えられています。2つの異なる地域に住む中国人の子供を比較した研究があります。遺伝子的には近いのですが、シンガポールに住む中国人の子供の近視の割合が29%なのに対して、オーストラリアの中国人の子供はわずか3%でした11)。シンガポールに住む子供よりもオーストラリアに住む子供のほうが屋外での活動時間が長いことが原因であると考えました。他の研究では、屋外の活動時間が長いほど近視進行が遅くなることを示しています9,12-17)。

近視への対処
近方作業と近視には明らかな関連性があり、多くの人々は過剰な調節が子供の眼軸を伸ばす原因になり、その結果、近視につながると考えました。この仮定を基にして、近視を弱く矯正する眼鏡を好む医師や患者もいました。しかし、慎重に管理された科学的研究によると、低矯正は近視の進行を遅らせるのではなく、実は早めてしまうことを示していました6)。
動物実験により、眼軸の伸びすぎは光学的なボケによることが示されています。網膜周辺部分における遠視性のボケ(焦点が網膜よりも後方にある状態)が眼軸を伸ばしていると考えられています18,19)。遠視性のボケがある状態では網膜よりも後方に結像していて(図3)、結像している面に向かうように眼軸が伸びていきます。反対に、網膜周辺部分の近視性のボケは眼軸の伸長を遅くし、近視の進行を抑制します。近視性のボケでは、網膜よりも前方で焦点を結びます(図4)。網膜中心窩でクリアに結像していても網膜周辺部におけるボケの方向が眼軸の伸長や近視進行に最も重要な要素であるということです。

近視進行を遅らせるのに効果がある他の方法には、ピレンゼピンやアトロピンのような抗ムスカリン点眼薬があります6)。
次の方法では近視進行を抑制できないことを最新のいくつかの科学的論文6)が示しています。

  • 未矯正
  • ガス透過性ハードコンタクトレンズ
  • 二焦点および累進多焦点眼鏡

近視の抑制に対して効果があると考えられている方法を以下に挙げます3,6,8)。

  • マルチフォーカルソフトコンタクトレンズ
  • オルソケラトロジー
  • 屋外でより多く過ごす
  • アトロピン点眼

来月号のニュースレターでは近視の研究に関してさらに詳しくお伝えします

参考文献

  1. Williams KM. Prevalence of myopia and association with education in Europe. Lancet 2014;383:S109.
  2. Lim MCC. The economics of myopia. In: Beuerman RW, ed. Myopia – Animal Models to Clinical Trials. Singapore: World Scientific Publishing Co Pte Ltd; 2010:63-80.
  3. Flitcroft DI. The complex interactions of retinal, optical and environmental factors in myopia aetiology. Prog Ret Eye Res 2014;31:622-60.
  4. Myrowitz EH. Juvenile myopia progression, risk factors and intervensions. Saudi J Ophthalmol 2012;26:293-7.
  5. Choo V. A look at slowing progression of myopia. Lancet 2003;361:1622-3.
  6. Walline JJ. Intervensions to slow progression of myopia in children. Cochrane Database Syst Rev 2011:CD004916.
  7. Donovan L. Myopia progression rates in urban children wearing single-vision spectacles. Optom Vis Sci 2012;89:27-32.
  8. Aller T. Optical control of myopia has come of age: or has it? Optom Vis Sci 2013:90:e135-7.
  9. Hrynchak PK. Increase in myopia prevalence in clinic-based populations across a century. Optom Vis Sci 2013;90:1331-41.
  10. Goh LK. New Approaches in the Genetics of Myopia. In: Beuerman RW, ed. Myopia – Animal Models to Clinical Trials. Singapore: World Scientific Publishing Co Pte Ltd; 2010:163-82.
  11. Rose KA. Outdoor activity reduces the prevalence of myopia in children. Ophthalmology 2008;115:1279-85.
  12. Lin Z. Near work, outdoor activity, and their association with refractive error. Optom Vis Sci 2014;91:376-82.
  13. Lan W. Bright light induces choroidal thickening in chickens. Optom Vis Sci 2013;90:199-1206.
  14. Nickla DL. Nitric oxide synthase inhibitors prevent the growth-inhibiting effects of quinpirole. Optom Vis Sci 2013;90:1167-75.
  15. Ashby RS. The effect of bright light on lens compensation in chicks. Invest Ophthalmol Vis Sci 2010;51:5247-53.
  16. Jones-Jordan LA. Time outdoors, visual activity, and myopic progression in juvenile-onset myopes. Invest Ophthalmol Vis Sci 2012;55:7169-75.
  17. Charman WN. Myopia, posture, and the visual environment. Ophthal Physiol Optics 2010;31:494-501.
  18. Smith EL. Effects of local myopic defocus on refractive development in monkeys. Optom Vis Sci 2013;90:1176-86.
  19. Smith EL. Effects of optical defocus on refractive development in monkeys: evidence for local, regionally selective mechanisms. Invest Ophthalmol Vis Sci 2010;51:3864-73.

BASIC CLINICAL TECHNIQUES – Comment on UV protection

紫外線に関する患者指導
夏には様々な要因により紫外線を浴びてしまいます。

  • 太陽からの光線は急な角度で直接的に届きます。
  • 日照時間が長くなります。
  • 気温が上がり、屋外での活動を促します。
  • 肌の露出が多くなります。
  • 夏休みになると、水泳や日光浴などの屋外活動が多くなります。

時間によって、過剰な紫外線は皮膚や眼の疾患の原因になることがあります。

  • 瞼裂斑
  • 翼状片
  • 白内障
  • 黄斑変性

初期の瞼裂斑(図5)や翼状片(図6)の患者が来たら、紫外線を浴びすぎることの危険性を説明して、眼を守る方法をアドバイスします。次に挙げることを実行すれば紫外線から眼を守ることが出来ます。

  • サングラスや紫外線をカットする眼鏡をかける。ほとんどのレンズ素材はある程度の紫外線をカットしますから、透明なレンズであっても眼鏡をかけたほうが良いです。コンタクトレンズにも紫外線をカットするものがありますが、それが保護できるのは目の中だけであり、結膜や強膜などを守ることは出来ません。
  • つばの広い帽子をかぶる。帽子をかぶることで紫外線を大幅に防ぐことが出来ます。
  • 日中の屋外活動は紫外線の強い昼ではなく、できるだけ朝夕に行うようにしてください。

患者に紫外線に関する情報を提供したり、上に挙げたアドバイスをしたりすることで、患者の視力を長期間にわたって守ることが出来ます。

(翻訳: 小淵輝明)

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